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との推察もされていた[37]。しかし、浜田らが酸化還元サイクルを起こす可能性のほとんどない各種のH型ゼオライトやアルミナのみでも同様のNOx除去効果が認められることを発表した[38〜41]のを契機に、本プロセスを、NH3を還元剤とする反応と似たような選択接触還元反応であるという認識が広がった。これ以降、本反応プロセスに関する研究が活発に行われている。

 

2.5.2 触媒開発の現状と各触媒のNO還元特性

 

前項で述べたとおり、近年、本反応プロセスに関して様々な触媒、還元剤の組み合わせによる研究が行われている。触媒の構成としてはほとんどがゼオライトやAl2O3等の酸化物[42、43]かこれにさらに他の1、2種類の元素を添加(担持)したものである。

ゼオライトの種類としてはZSM-5が最も頻繁に調べられているが、当初、固体酸点が本反応の活性点であるという推察がなされた[39、40]ため、モルデナイト、フェリエライト、L型、USY等のハイシリカゼオライトも調べられている。同様の視点から酸化物で、SiO2-Al2O3およびZrO2、TiO2[44]、Fe-シリケート[37]、AlPO、SAPO[45]等が検討されている。

還元剤としては、C2H4、C3H6を使用している場合が多いが、C4H8、C2H2、CH4、C3H8、C6〜C16の飽和炭化水素[37]、CH3OH、C2H5OH、C3H7OH等[46、47]で有効性が確認されており、他の多くの有機化合物でも活性があると考えられる。オレフィンはパラフィンよりも活性が高く[39]、アルコール類はさらにそれより低温活性が高いが、還元剤の最終的な選択は、価格、添加方法の利便性、安全性など実用性によって決められるものと思われる。なお、岩本らは当初CH4、C2H6、H2、COには選択還元能がないと報告した[48]が、その後、CH4でもAl2O3[49]、Gaイオン交換ZSM-5[50]、H-ZSM-5[51]、Coイオン交換ゼオライト触媒[52]等により、COではIr/SiO2触媒により選択還元が進行する[53]ことが見いだされている。さらPt/ゼオライト触媒により70℃というこれまでにない低温条件でNOx選択還元が進行することが報告されている[54]。ZSM-5担持触媒としてはCuの他、Co[35]、Ga、Zn[55]、Ce[56]を担持したもので高い性能が得られている。

 

 

 

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