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[3]スウェーデン

 

スウェーデンでは、産業的に見て必ずしも海事産業の地位が高くないことを反映して、フィンランドやノルウェーのような、産学官が緊密に連携した共同研究開発への積極的な取り組みは見られなかった。

 

産業的に見た場合、造船業は海軍向けがほとんどで、一般商船・客船向けの造船所はほとんどない。一方、海運業、舶用工業には有力企業が多いが、船舶の発注が海外の造船所になってしまうこともあり、個別の企業内での研究開発は実施しているものの、例えば船主と舶用機器メーカとの共同研究開発はほとんど行われていないようである。

ただし、個別企業が自社の研究開発への支援あるいは補完を目的として、SSPAに研究開発あるいは試験を委託することはある。

 

スウェーデンには、フィンランドのTEKES、ノルウェーの研究審議会に相当する「NUTEK」という機関が存在するが、スウェーデン政府としては輸送機械産業の中でも自動車と航空機のほうを優先しているので、研究開発資金の要請をしても、EUのプログラムのほうに申請するように言われることが多いという。

また、EUプログラムのほうは、競争が厳しく、資金を得るのは容易ではないということである。

 

なお、海事関係の研究者(ドクター取得者レベル)数は、ストックホルム工科大に10人程度、シャルマス工科大に15人程度、SSPAに10人程度、その他5人程度ということで、トータルで50人弱というレベルである。

 

 

 

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