(c)「旅客/RORO船の安全性」プロジェクト
表に示した「旅客/RORO船の安全性」プロジェクトは、エストニア号の事故を契機として北欧諸国が中心となって進めている共同プロジェクトである。ノルウェー、デンマーク、フィンランド、スウェーデンの海事関係各機関が参加しているほか、イギリスの海洋安全局やドイツ・ロイド船級協会等も参加している。
このような北欧諸国間の共同プロジェクトについては、通常国レベルでの話し合いに基づいて決められるが、イニシアティブを取る国はケースバイケースである。
(d)企業との共同研究開発
ルールや標準作りで、船主や造船所と共同で研究開発を実施することはあるが(例えば、現在スウェーデンの船主と、環境基準に対応した新しい船舶の設計を行う「ECOSHIP」というプロジェクトを進めている)、基本的には1社に対してルールを作るということはせず、分野の代表と研究開発をしているという考え方であり、最終的にはノルウェー研究審議会やIMO等にプロポーザルを出して、国あるいは世界標準に持っていくようにする。
?設備
DNVには5つの試験センターがあり、顧客からの委託による各種試験や事故等に関連して持ち込まれる部材の検査等を行っている。試験センターで使われる予算は、戦略的研究開発と同程度である。試験センターの特徴は、次の2つである。
・フルサイズに近い形で試験を行うことができる
・試験方法等に関する新しいコンセプトやツールを提供することができる
したがって、例えば材料強度試験装置に中には、世界最大級のものもある。
最近は、石油採取等を中心としたオフショア関連の試験や研究開発が多いということであるが、最近の活動で注目されるのは、石油各社が同じ問題に直面することがよくあることを踏まえて、専門家を集めて経験や知識を交換する場を作り、相互協力を図るようにしたことである。これにより、問題解決が早くできるようになり、なかには問題解決のためのDNVのプロジェクトとしてオーソライズされたものもある。
?研究開発マネジメント
特に、目標管理は以下のようなプロセスで行っている。
・基本的には、研究開発グループごとに仕様書を提出させ、マネージャ会議でその妥当性を評価したのち、スケジュールと予算が決まる。
・特に、研究開発の目標(ゴール)をはっきりさせるようにしているが、収益目標を立てさせているわけではない。
・スケジュールとの整合は毎月チェックしている。
・また、4カ月ごとにレポートを提出させ、目標の達成状況を厳しく査定している。
・目標達成が見込めない場合は、途中で中止することもある。
・合格の場合は、ラインマネージャがサインする。
例えば、1997年12月時点で、DNVで実施されている116のプロジェクトのうち、目標を達成できたのは94であった。達成度の10段階評価で5前後のプロジェクトも見受けられた。