(a)アルミ船プロジェクト
例えば、「材料・構造」のアルミ船プロジェクトでは、クバーナの他に、DNVや Hydro Aluminium が参加し、アルミ材質の改善、最適設計、効率的な建造方法の開発を行っている。当面の目標は、強度の30%向上と生産プロセスでの作業時間の30〜40%削減である。
(b)複合材料プロジェクト
また、複合材料プロジェクトでは Dupont が参加しており、同社独自の真空射出法により、生産プロセスの高効率化、スチレン臭の削減、及び樹脂の使用量の減少による軽量化を実現している。
(c)ユニットカーゴ・ロジスティクス・プロジェクト
「ユニットカーゴ・ロジスティクス」は、水上、鉄道、道路での輸送を統合し、継ぎ目のないロジスティクス・サービスを実現しようとするものであるが、その中のプロジェクトの1つIPSI(Improved Port/Ship Interface)では、船と地上輸送との間での貨物ユニットの自動輸送、ロジスティクスの流れ・つながりの解析、及びそれに適した船型等の研究開発を行っている。
このプロジェクトには、ドイツのPort and Tranport Consultants、Fraunhofer 研究所、フランスのSAGA、ノルウェーのJebsen、MARINTEK、SINTEFが参加している。予算的には、前述したノルウェー研究審議会が進めている「Short Ship」にも一部関係しているほか、EUの輸送理事会より、第4フレームワーク・プログラムの一環として一部予算がついている。
(d)Communication Highway Systemプロジェクト
これは、共同プロジェクトではないが、本社がShip R3Dプログラムを側面から支援するものとして「Communication Highway System」を開発している。これは、特に設計データの標準化を行い、各造船所をネットワークで結んでそれらを共有化しようとするものである。多国籍、かつ買収によってグループ化されたクバーナにとっては、必要不可欠のシステムといえる。
?マネジメントの方法
Ship R3Dプログラムのコンセプトは、本社のマネジメント部門から出されたものであるが、実際にプロジェクトとして動き出すまでにはかなり時間がかかったということである。
当初は、各造船所が協力して共通のテーマについて研究開発を実施しようとしたが、それぞれの独立性が強いために共通のテーマは考えにくいことが判明した。現在でも参加のしかたはまちまちであり、例えばドイツの造船所はアルミ船には興味を示さず、イギリスの造船所は旅客船には興味を示さない。逆に、貨物ラインにはすべてが興味を示している。
しかし、グループ内をオープンにして研究開発を行うことはメリットの部分も大きく、造船所からの要請もあって実施することとなった。例えば、現在ドイツの造船所とノルウェーのMARINTEKが共同研究開発を行っているが、これはオープンにしたことによる1つの成果ともいえよう。
プログラムのコーディネートは本社が行っており、2人が専任で担当している。各プロジェクトにはプロジェクトマネージャが選ばれており、そこに各造船所の代表が集まってプロジェクトを実施することになっているが、そこに参加するかどうかは、各造船所の判断に任されている。逆に、テーマを細分化し、各造船所が参加しやすいような工夫もしている。