2)クバーナにおける研究開発
クバーナ・グループの12の造船所は、基本的にそれぞれ独立会社であり、研究開発についても各造船所が責任を負っている。
ただし、1995年から開始された「Ship R3D プログラム」は、グループ内外を含めて実施される初めての大規模共同研究プロジェクトであり、いくつかの成果も出始めている。ここでは、Ship R3Dプログラムの内容等について紹介する。
?プログラムの目的
R3Dとは、Research(研究)、Develop(開発)、Demonstrate(PR)、Disseminate(普及) の意味である。基本的な目的は、将来の市場ニーズに対応した船舶、機械、システムを開発することであるが、普及させることまで念頭に置いている点は注目される。
?投入資金
すでに3年を経過しているが、総額で100億円を超える資金が投じられている。
なお、この中にはグループ以外、例えばノルウェー研究審議会主催のプロジェクトや海外やEUの共同プロジェクトとリンクさせて、公的資金を得ているものもある。その場合は、クバーナ側の予算の比率は50%未満であり、30%程度が一般的である。
?プログラムの内容
プログラムの中で実施されている研究開発は、以下の20プロジェクトである。
・クルーズ船、及びフェリー
・LNG船
・LNG技術(タンク形状、高信頼再液化装置等)
・LPG船
・舶用機械(低排ガスエンジン、すべての運転モードでの高効率システム等)
・ガスタービン
・材料・構造(アルミ船、高張力鋼、複合材料等)
・オイル・ガス生産船
・ケミカルタンカー
・極地オペレーション
・極地オイル・ガスタンカー
・ユニットカーゴ・ロジスティクス
・ユニットカーゴ船
・水産物加工船(EXPONOFI)
・次世代冷凍船(REEFER 2002)
・液体カーゴ・ハンドリング
・船体形状
・AZIPOD推進システム
・反転プロペラ
・単一スティック操縦システム
これらのプロジェクトには、それぞれの分野を得意とする造船所が参加しているが、外部との共同研究開発の形態を取っていることが多い。その事例を以下に示す。