?研究開発テーマの選定
特にTEKESがサポートするプロジェクトでは、次のような過程でテーマが選定される。
まず、造船所等の企業側からTEKESにプロジェクトテーマ案が提案されるが、この場合技術者ではなくマーケティング担当者からアイデアが出されるのが一般的であるという。すなわち、マーケティング・マネージャがTEKESにテーマを提案し、そのテーマがTEKES内部の評価委員会で検討され、承認されれば、その提案企業が主幹事となってプロジェクトがスタートする。
TEKESは、基本的には規模の大きいプロジェクトを指向しており、また開発された商品はフィンランド国内で生産することが条件とのことである。
?共同研究開発における大学の位置づけ
共同研究開発において、産業側と大学側どちらがリーダになるかは、テーマの内容で決めるべきであろう。MIFでは、企業からの受託研究であっても、大学の目的に合致したものをテーマとして選定することがある。Azipod の時も、クライアントの直接的なニーズからは離れて、実際のプロジェクトとはやや異なる独自のプロジェクトテーマを選んで進めたという経験がある。
ただし、どのような形で進めるにしても、産業に対して何らかのつながりを持ち、産業へのを貢献を果たさなければならない責任はある。例えば簡単なようで難しいことだが、研究者が論文を書く場合に、産業側にも理解できるような表現をすることは重要なことである。
MIFの設立当時は、個々の要望が合致せず、うまくいかないことが多かったが、現在では相互の信頼関係は確立され、それに基づく産学間での研究者同士のつながりは何よりも重要と考えている。