(1)フィンランド海事研究所(Maritime Institute of Finland, MIF)
1)MIFの概要
MIFは、1991年にヘルシンキ工科大学(HUT)とフィンランド技術研究センター(VTT、後述)の共同出資により設立された組織である。専任の職員がいるわけではなく、MIFという傘(umbrella)の下で、HUT(35人)とVTT(65人)のメンバーが共同作業をするという形を取っており、プロジェクトの内容に応じて最適なメンバーが組織される。
設立の目的は、大きくは共同研究開発を通して船舶・海洋分野の技術を強化していくことであるが、クライアント側から見ると、HUTからは基礎的な面でのアイデアや情報を得ることができ、それをVTTの力を借りて製品化する、といったつながりを持った共同研究開発ができることは大きなメリットである。また、研究者側から見ると、MIFは数少ない研究者が産業と関わりながら優れた研究開発を行うための有効な場ということができる。
MIFの組織は、図5-2-2のようになっている。運営委員会は産業界からの代表者で構成されている。また役員会は、HUTとVTTの両者から出された3名のメンバーで構成されている。
なお、1996年におけるMIFの受託研究費は約6億6,000万円である。これには、企業からの受託研究費と公的資金による研究費の両方が含まれている。