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その技術の最適な適用形態と適用によるメリットを算出し、その結果を踏まえて船主にその技術を売り込むのである。いわば、新技術の商品化コーディネータの役割を担っている。

 

以上のように、フィンランドの海事産業では、図5-2-1に示すように研究開発の各段階で、それぞれの持ち味を持ったユニークな支援機関・企業が存在することにより、非常に効率的な研究開発が行われているが、特に、どの機関・企業でもマーケティングを重視していることが特徴的である。

これには、次のような歴史的な背景がある。従来、フィンランドは旧ソ連との結びつきが強く、いい技術・商品を開発すればソ連が必ず買ってくれたが、ソ連の崩壊に伴い、モノが売れなくなり、例えば Masa-Yards のように経営的に苦しくなり、身売りするような企業も出てきてしまった。そこで、企業に限らず、国や大学の研究開発機関でも、ニーズに対応した売れる商品を開発するために、特に商品化を重視した体制を整えた。

研究者にもそのマインドは浸透しており、今回訪問した所では、大学、国、企業に限らず、すべてが、人(研究者)と人(ユーザ)とのつながり、あるいはネットワークが重要ということを言っていたのは印象的であった。

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