(7)アメリカ
1)造船関連産業の特徴
アメリカの造船産業に関するデータを表5-1-13に示す。
表5-1-13 アメリカの造船産業関連データ
[造船関連]
・新造船受注量(1995年):50隻 182,000G/T(世界シェア:0.7%)
・新造船竣工量(1995年):7隻 2,000G/T(0.01%)
・新造船手持工事量(1996年3月末):107隻 358,000G/T(0.8%)
[その他]
・GDP(1995年、10億US$):7,254(31.2%:対OECD加盟国GDP合計比)
(出所:各種資料よりMRI作成)
アメリカの造船業は、70年代までは商船を中心に建造してきたが、80年代に入ってからは艦艇中心の建造に移行した。現在も、海軍向け艦艇の建造をメインとして運営されており、その規模は日本の造船業に匹敵する。
しかし、冷戦終結にともない艦艇建造予算が減少したため、商船への転換を余儀なくされ、特に1993年にクリントン政権が「米国造船強化策・国際市場における競争力獲得計画」を出して以来、政府の支援も本格的となった。
同計画を受けて出された施策のうち、競争力のある船型を開発し、生産性を向上させることを目的とした「MARITECHプログラム」と、政府による債務保証制度「タイトルXI」が強力な支援策となっている。特に、後者は外国船社が米国で建造する新造船に対しても適用されるので、外国船社からの新造船発注が急増する結果となっている。
アメリカにおける特徴的な造船関連機関・企業を表5-1-14に示す。
2)研究開発体制・事例
上述したように、競争力ある船型を開発し、生産性を向上させることを目的とした「MARITECHプログラム」が政府主導で進められており、有望な新造船プロジェクトに資金援助を行っている。
例えば、同プログラムの中で、ABS(米国船級協会)は次のようなプロジェクトに関わっている。
・米国海軍のコンテナ船を高速RORO船に改造するプロジェクト
・タンカーの新改造プロジェクト(就航中のタンカーの前半部だけを新造リプレースし、船尾部分は既存部分を強化したものを活用する)
・大水深で稼働する海洋構造物の新造・改造プロジェクト