(5)イギリス
1)造船関連産業の特徴
イギリスの造船産業に関するデータを表5-1-9に示す。
表5-1-9 イギリスの造船産業関連データ
[造船関連]
・新造船受注量(1995年):19隻 85,000G/T(世界シェア:0.3%)
・新造船竣工量(1995年):17隻 123,000G/T(0.6%)
・新造船手持工事量(1996年3月末):31隻 183,000G/T(0.4%)
[その他]
・GDP(1995年、10億US$):1,104(4.8%:対OECD加盟国GDP合計比)
・所有船腹量(1994年末現在):1,667隻 6,554,000G/T(世界17位)
(出所:各種資料よりMRI作成)
イギリスの造船業のほとんどは撤退を余儀なくされたが、最近になって北海の石油開発が再び活発化してきたのを背景に、商船建造からFPSO(浮体式石油生産貯蔵積出施設)のような浮体式石油生産設備の建造に目を向ける等、新しい動きが出てきている。
一方、海運、造船が低迷している中で、舶用機器は健闘している。また、海事産業にとっては、イギリスは世界で最も大きな情報センターである。
イギリスにおける特徴的な造船関連機関・企業を表5-1-10に示す。
2)研究開発体制・事例
例えば国家プロジェクトの1つである「LINK」(産学共同の技術開発)の一環として、通産省(DTI)と教育科学省(DES)の科学技術研究協議会(SERC)からの資金援助を受けて、メーカ、大学、ロイド船級協会(LR)との共同で「舶用排ガスに関する基礎研究」が実施されている。
「LINK」では、開発テーマの提案は企業と政府が行い、採用されたプロジェクトには、総費用の50%を限度として政府が負担し、残りを参加企業が負担することになっている。
次に示すLRで実施されている環境関連の研究開発プロジェクトでは、オランダからの資金援助を得ている。
・「Marine Exhaust Emissions Research Program」(船舶における排ガス研究プログラム: 一定の状態で運転している場合の排ガスの基礎データを測定し、舶用エンジン排ガスの大気への影響評価を実施する)
また、情報関係の研究開発では、EUで進められているESPRITプロジェクトに関与するものがあり、欧州レベルで進められている研究開発に参加するケースが多く見られる。