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・機体やエンジンは、基本的には標準化されており、航空会社は内装等で差別化を図る。

 

○電子・機械分野(通産省「産業技術研究開発制度」)

通産省の研究開発支援の第一の目的は産業振興もしくは新産業創造であり、その目的を実現するための基盤技術開発、あるいは要素技術開発を指向するものが多い。多彩な支援の仕組みを持っている点は参考にすべきであるが、研究開発の期間が長いわりには成果がすぐに商品化に結び付いた事例が少ないという指摘もあり、その辺を打開するための予備的研究制度や、主にマネジメント面での改革が産業技術研究開発制度で始まっている。シーズ指向からニーズ指向に切り変えようとする試みは、参考になると考えられる。

参考になりうる点をまとめると以下のようになる。

 

・さまざまな側面からの多彩な研究開発支援の仕組みがある。

・各分野で先端的な研究開発を行っている国立研究所があり、境界領域の研究開発でも、複数の研究所が参加することにより対応できる。

・主に実現性を評価するための予備的研究(「先導的調査研究」)の仕組みがある。

・国の資金の受け皿として財団法人を作ることが多いが、直接的に研究開発に関わらなくても、会員制度の活用により、最新情報等を入手することができる。

・シーズ指向の研究開発によく見られる問題点を解消するために、次の3つの視点からの改革が進められている。

・機動性の増進

・競争の促進と効率性の向上

・透明性の向上

 

○運輸分野(ITS)

5省庁が連携して実施するプロジェクトというのは画期的であり、従来から問題視されていた省庁間の壁を除く試みとして注目される。まだ、連携したことによる成果が出たとは言えないが、今後、造船分野でも総合物流システムという視点からの研究開発を行おうとする場合、このような横断的な体制を組まざるを得ないので、そのマネジメント方法は参考にすべきであろう。

参考になりうる点をまとめると以下のようになる。

 

・次のような5省庁連携プロジェクトの運営方法

・共通認識、あるいは統一的な考え方のもとに推進するための基本方針や実施指針 の策定

・わかりやすい将来シナリオ(目標)の設定

・まとまった予算を獲得できる仕組み作り

・初期の段階での社会への受け入れ環境整備への配慮

・初期の段階での国際協力あるいは国際標準化への配慮

 

 

 

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