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等を勘案した到着までの最適な経路、交通機関等が容易に選択可能となる。

また、ドライバーの安全運転の支援と歩行の安全性向上により、高速道路、一般道路における交通事故の減少が図られる。交通事故等が発生した場合においても、迅速な通報と交通規制により、被害の拡大が防止され、緊急・救援活動の迅速化と合わせ、従来であれば命を落としていたかもしれない人々を救うことができる。

一方、公共交通機関の定時性の確保と情報サービス等の充実により、公共交通の利便性は飛躍的に向上する。また、輸送事業の業務等に関する効率化が図られ、物流コストの低減等により、国民は利益を受け始める。

 

?第3フェーズ(2010年頃)

「ITSの高度化と社会制度の整備」

ITSの高度化にあたるこの時期は、インフラの整備と車載機等の普及に加えて、ITSを社会システムとして定着させるための法的、社会的制度の整備も行われ、ITSによる効果は広く国民全般に行きわたる。また、さらに高度な機能の実現により、これまでは夢とされていた自動運転が本格的にサービスを開始し、車内は安全で快適な空間となる。

 

?第4フェーズ(2010年頃以降)

「ITSの熟成」

本構想の最終期にあたるこの時期は、ITSのすべてのシステムが完成するとともに、光ファイバー網の全国整備等による高度情報通信社会の本格的到来により、社会システムの革新が行われる。

この時期には、自動運転の利用者が増大しはじめ、一般的なシステムとして定着しはじめる等、ITSに関して熟成の時期を迎え、ITSは道路交通ならびに交通全体に関わる基本的なシステムとして、広く国民に受け入れられる。これにより、交通事故による死亡者数はモータリゼーションの進展にもかかわらず、現在よりも大幅に減少することが期待される。また、都市部をはじめとした道路等の渋滞は緩和され、快適で円滑な移動が可能となる。さらに、業務交通量の低減により、沿道環境、地球環境との調和が図られる。

 

6)実現方策

機器や部品の研究開発とは異なり、社会全般にかかわるシステムの実現を図ろうとしているだけに、以下のような実現方策を掲げていることは特徴的である。

 

?推進体制の整備

中核的な推進体制は、図3-2-9に示したような構成になっているが、元来ITSは利用者、関連技術分野、及び関係者が多岐にわたるため、次のような点に留意している。

 

・5省庁にまたがるプロジェクトは初めてであるので、まずその役割、研究開発の意義等についての共通認識・目標を明らかにするための基本方針・指針を策定する。

・地域固有の実情に合ったITSを推進するため、個々の地域にITSを考える場を設置する。

・学においては、関連学会においてITSの検討の場が積極的に設置される。

・産においては、関連分野ごとの協力の場と、分野を超えた協力の場が設置される。

 

 

 

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