(b)エンジン関係
エンジン関係では、わが国のメーカはV2500エンジンに(財)日本航空機エンジン協会が23%のシェアで参加し、ファン、低圧圧縮機、高圧圧縮機、高圧タービンの一部を製作している。また、ロールスロイス社のトレント・エンジン、PB211-524エンジンに、石川島播磨重工業が5%、川崎重工業が3%の割合で出資、石川島播磨重工業はゼネラル・エレクトリックのGE90にも8%の割合で参加している。また、プラット&ホイットニーのPW4000シリーズに川崎重工業が1%、三菱重工業が5%の割合で出資している。
わが国の主要航空機エンジンメーカはV2500を中心に、ゼネラル・エレクトエレクトリック、プラット&ホイットニーといった米国大手のエンジンメーカのプロジェクトに参加することでリスクシェアリングを進めている。
○ゼネラル・エレクトリックとの提携関係
ゼネラル・エレクトリックのエンジンでは、石川島播磨重工業が、J79、T/CT-58, T-700, T-64, CT-7といったエンジン及び補機で提携している。また、部品製造技術、コンピューター画像合成装置組立技術で東芝テスコが、リード・コンピューティング・ジャイロ・データプロセッシング・システムで東芝が、航空機用自動車操縦装置で日本航空電子工業等が提携関係を結んでいる。
○ユナイテッド・テクノロジーとの提携関係
ユナイテッド・テクノロジーの子会社プラット&ホイットニーとは、石川島播磨重工業がF100のエンジンで、三菱重工業がJT8D-9エンジン等で提携している。また、石川島播磨重工業はユナイテッド・テクノロジーの系列会社であるハミルトン・スタンダードと補機関連で、住友精密がプロペラや空調機器で技術提携している。このほか、自動安定装置、フライトレコーダーで日本航空電子工業が提携関係にある。
○その他の提携関係
このほか、エンジン関係では、アリソン・ガスタービン社製のT56で石川島播磨重工業が、T63-5A及び250-C18で三菱重工業がライセンス提携をしている。ライカミング製エンジンに関しては川崎重工業がKT-53, T-53, T-55等のエンジンのライセンス生産を行っている。
?日本の航空機産業における技術開発の特徴
日本では、機体やエンジンの技術開発は国(特に通産省)の下での技術開発が中心である。ボーイングやエアバスも多少似たところはあるが、開発機種の決定は自身が行っていることが大きな違いである。
日本の場合、川崎重工業のBK117や三菱重工業のMU-2やMU-300(現在はビーチクラフトに売却された)のようにヘリコプターやビジネスジェットクラスは各社が独自の開発計画を作成している例があるが、中型・大型旅客機については通産省等がプロジェクトを策定している。この結果、ボーイング767(日本ではYX)でボーイング社の下請け的な位置付けに終わったり、日米共同のボーイング7J7はプロジェクトが中止される等、機体の技術開発では主導権をとれていないのが実態である。
システム・機器、部品レベルについては、各社が独自に製品を開発し、海外企業との提携や共同開発を進めている。しかし、防衛庁関連については、戦後のライセンス生産の関係を継続した形での技術開発例が多い。一方で、旅客機用のギャレーやトイレの技術開発ではジャムコが、旅客機の機内エンタテーメント・システムではソニーや松下電器産業が積極的な