ジンの開発を行うことは困難となっている。また、研究開発期間もエンジンでは15〜20年、機体でも10年かかり、回収期間が非常に長い。
○複雑なグローバル・ネットワーク
ハイコスト・ハイリスクであること、テクノポリティカルな要素が強いことから、グローバルな開発・生産体制が構築されている(ネットワークの構築にあたっては単に技術的なつながりだけではなく、政治的な要素が作用している)。
○テクノポリティックな産業
軍事が関連していること、欧米、アジアで重要な国家戦略に組み込まれている産業であるために、技術だけではなくテクノポリティックな要素が大きく影響する産業である。このことは当然技術開発にも大きな影響を与える。
○デュアルテクノロジーが中心となる
軍民双方の市場を持つ。しかし、その技術の多くは軍事技術、民生技術とはっきりと線が引かれるのではなく、デュアルテクノロジーとして位置付けられてきた。
○スピンオンとスピンオフ技術
スピンオフ、スピンオン技術が多数ある。かつては航空機産業はスピンオフが強調されたが、実際はスピンオフ以上にスピンオン技術が多数ある。スピンオン技術は他産業からの技術であるが、単にスピンオンするだけではなく、スピンオンした技術がより高い性能レベルに引き上げられるポンプのような特性を同産業は有している。
2)日本の航空機産業の実態
?日本の航空機関連メーカの提携関係の実態
(a)機体関連
わが国の航空機関連メーカと欧米の航空機機体メーカ間の提携は、全般的にアメリカのメーカとの結び付きが強い。特に強いのがボーイングで、ボーイング767やボーイング777の計画にそれぞれ15%、21%の割合で参加している。また、ヘリコプターでは川崎重工業、三菱重工業、三井物産等が事業面や資金面からプロジェクトに参加している。
○ボーイングとの提携関係
図4-2-6に示すように、世界最大の旅客機メーカであるボーイングとは数多くの日本企業が提携関係にある。同社の主要旅客機に対して胴体各部、フラップ、リブ、フェアリングといった主要部品やアクチュエータ、バルブ、ギャレー、タイヤ等の部品、システムを納入している。わが国のメーカは、ボーイング767計画の15%を分担しているが、この他に機器・部品等は直接ボーイング社から発注を受けているため、日本メーカの比率はこれより高い値となる。
なお、旧マクドネルダグラスともかなり緊密な提携関係があるが、ここでは省略する。