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(別添ファイル参照)

第一の横方向の国際共同開発の進展は今後も続くと考えられ、従来大型・中型旅客機が中心であった国際共同開発は、既にコミュータ・クラスにも及びつつある。そして、欧米はもちろん、日本をはじめとするアジアのメーカもこの流れの中にあり、かつ重要な位置を占めつつある。

例えば、コミュータクラスではブリティュッシュ・エアロスペースが台湾エアロスペースやインドネシアのIPTNとの提携を試みている。一方で、欧米の間に位置するアジア諸国に対する反作用も見られる。

 

第二の縦方向のつながりは、主供給メーカや部品供給メーカの相対的な力の強まりとこれらのメーカへの航空機メーカ等からのリスクシェアリングの考え方の持ち込みという形で表出化しつつある。

 

第三の航空機産業内での軍需から民需のシフトによって、軍用機の大手メーカが民間航空機の主供給メーカとなる例がいくつか見られる。民間航空機分野で機体の製造から撤退したロッキードや、軍用機の大手メーカであるノースロップ社(前述のロッキードも大手の軍用機メーカであるが)がボーイング等のサブコントラクタとなっている。

特に、ここ数年は軍用機のプライムコントラクタが民間分野でのサブコントラクタとなる例が多く、従来、軍用、民間と比較的明確に分かれていたピラミッド構造が重なることとなった。このことは特に頂点に近い企業に大きな影響を与えたが、逆にシステム・機器、部品供給メーカにとっては、もともと両者の共通項的な製品を納入していたため、一部の特殊な技術を除けば、その影響は相対的に小さかった。このことが部品メーカ等の力の相対的な強さにもつながっていると考えられる。

 

?テクノポリティカルな側面

航空機産業における大きな特徴として、軍民両方の市場を有していることを無視することはできない。このことが、航空機産業の技術をデュアルテクノロジーとして位置付け、また、テクノポリティカルな面から、これまでのわが国の航空機産業やその技術開発に大きな影響を与えてきた。

ただし、冷戦構造の終結により、軍事的な側面の位置づけは相対的に下がっており、先に述べたボーイングとマクドネルダグラスの合併も、最大の需要先である国防省から見れば、最近のプログラム支出の削減や、調達システムの簡素化と効率化等のための納入ソースの削減といった方向に則った形になっており、むしろ歓迎されている。

 

以上のことから、航空機産業の特徴は以下のようにまとめることができる。

 

○2つのピラミッド構造をした産業

基本的に航空機(またはエンジン)開発・製造メーカを中心としたピラミッド構造を有している。従って、プライムコントラクタのような頂点(その製品を開発、生産する中心となる企業)となる企業があり、これにサブコントラクタ、システム・機器、部品、材料メーカ等多様な技術を保有したメーカがかかわる。また、ハイコスト・ハイリスク化の進展に伴いピラミッド構造での力の逆転現象(アビオニクス等)がおきつつある。

 

○ハイコスト・ハイリスクな技術開発

ハイコスト・ハイリスクの産業である。前述のように欧米でも1社で新しい航空機やエン

 

 

 

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