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4.国内の造船業及び他産業におけるプロジェクト研究開発の現状

 

4-1 造船業におけるプロジェクト研究開発の現状

 

造船分野において、新型の船舶あるいは舶用機器等を共同開発することを目的とした大規模なプロジェクトを実施しようとする場合、次世代船舶研究開発促進制度(運輸省)等を活用し、またその場合、鉱工業技術研究組合制度等の体制を組むケースが多い。過去には「テクノスーパーライナー」、「高信頼度舶用推進プラント」、「新形式舶用電気推進システム(燃料電池推進船)」、また現在進行しているものでは「メガフロート」や「スーパーマリンガスタービン」のプロジェクトが、この制度のもとで推進されている。

本項では、次世代船舶研究開発促進制度、及び公募型基礎的研究推進制度の仕組みを概説するとともに、「テクノスーパーライナー」プロジェクトを例にとって、研究開発の具体的な運営方法等について解説する。

なお、船舶に関する主な研究開発体制は図4-1-1に示すようなものである。

 

(1)次世代船舶研究開発促進制度

 

1)次世代船舶研究開発促進制度の概要

次世代の船舶の研究開発は、創造的技術ポテンシャルの維持、強化が図られるばかりでなく、海上輸送の効率化、海上における環境負荷低減、海洋空間における社会資本整備の円滑な推進に寄与する等、高い政策的意義を有しているが、

 

?研究開発の初期の段階においては、高いリスクを伴うこと

?実用化を目指す段階においては、多額の資金を投じて技術の信頼性、有用性の確認を行う等、実証的な手法を用いつつ研究開発を行う必要があることから、民間の自主努力だけでは研究開発の円滑な推進が困難な状況が考えられる。

このような観点から、運輸省は平成元年度から新たな研究開発制度として「次世代船舶研究開発促進制度」を創設し、造船業基盤整備事業協会(法律に基づく特殊法人)による研究開発促進業務として実施しており、この制度を活用し、平成元年度よりこれまで5つのプロジェクトが実施されている(詳細は、3)を参照)。

 

2)鉱工業技術研究組合制度等

鉱工業技術研究組合制度は、鉱工業の生産技術等に関する試験研究を共同研究体制のもとで実施することにより、研究開発のための人的・資金的資源を効率的に活用し、鉱工業の生産技術等の向上を図ることを目的とする制度である。

ただし、設立に際しては、組合法に基づく国の認可が必要であり、組合が実施しようとする研究開発課題が、国が必要であると認める重要なものであることが条件となる。

 

 

 

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