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7. 造船・舶用工業の高度情報化ロードマップ

本章では、造船・舶用工業の情報化機能の実現手段と課題を検討した上で、造船・舶用工業の高度情報化の全体的な基本構想を実現するための道筋として中長期ロードマップ、及び高度情報化を進める際の短期フレームワークを提案する。

我が国の造船・舶用工業が長い将来に亘って魅力ある産業として活力を維持し、発展していくためには、生産性の向上とコストダウン、技術開発力の強化と船舶・陸上・海洋開発等の新市場の創出を図っていく必要があり、造・舶企業間取引の効率化はもとより、船社ニーズを先取りできる造・舶間の垂直分業と協調、造・造間の水平分業と協調、舶・舶間の水平分業と協調等の業態改革を視野に入れながら、造船関連産業の経営・生産・研究開発基盤の強化を進める必要がある。

このためには、造船所間の協業により大口商談における共同受注が単独受注と同様な機動性をもって実施できる、同一の基本図を元に複数の事業所に適合した工作要領を展開できる、設計段階から機器メーカーが参画し機能系統毎の作り込みを行う等の展望をもって高度情報化に取り組んでいく必要があるとともに、短期的には、機器のモジュール化やシステム化、取り付け等のスタンダード化等の業務革新を進めながら、技術情報交換の規約整備と技術情報の電子的交換のための実用的ツール開発・普及等の方策を推進し、個別企業の情報処理能力の向上と造船関連産業の情報ネットワークの範囲を拡大していく必要がある。

 

7.1 情報化機能の実現手段と課題

前章の造船・舶用工業の高度情報化グランドデザインにおいて、造船・舶用工業の基盤強化の方向とこれを実現するために必要となる情報化機能の提案を行った。

本節では、まず、造船・舶用工業における設計、建造、保守などの業務革新と情報化技術の果たすべき役割の側面から、情報化機能の実現手段と課題について論ずる。

次に、狭義の情報化、すなわち情報化技術とその普及に焦点を当てて、実現手段と課題について論ずることにする。

 

 

 

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