(4) バーチャル・エンタープライズ(VE:Virtual Enterprise)型
本タイプは、企業間協調をさらに進めて、各社の組織を機能的に細分化して考え、それぞれ得意な業務分野に特化、又は効率的に業務が行えるようなプロジェクトを組むことにより、各社間で適宜業務を進めるタイプである。(図表I.5.2-8参照)
VEとは、複数の企業がコストとスキルを共有して、急速に変化するビジネスチャンスや大型商談などのプロジェクトに共同であたる柔軟な仮想組織である。VEの実現は、各社が得意な業務分野に特化、ないしは専門会社に分化する形をとり機能的に細分化した形態をとる。また、情報が各社の業務に縦横に流れるようになることが前提であり、高度な情報化が必要になる。
NIIIPなどでは、上述した情報基盤を積極的に活用し、業界自体の柔軟性を高めることでVE(Virtual Enterprise)などの形態を目指す検討が行われている。同プロジェクトは、アメリカ産業界の種々の分散コンピューティング環境を統合し、参加する企業全体があたかも一つの企業体であるかのようなシステムをゴールに設定している。
VEは、各社の経営資源を有機的に結びつけ、産業全体の経営基盤を強化する仕組みである。造船・舶用工業が「規模の経済」を実現し高い生産性を目指す上で、高度情報化技術を活用した産業の将来的な方向性の一つとして、VEの可能性を吟味することが必要である。