日本財団 図書館


5.2 高度情報化による経営変革の方向性

造船・舶用工業の活性化のためには、各種経営資源の有効活用が必要であり、そのためには適正な範囲で事業運営上の規模の拡大による効率の向上(以下、本節では「規模の経済」と云う)を目指す必要がある。ここでは情報化技術を用いて、企業間の連携等を進めることにより、産業全体の生産性向上や業務環境の向上を図る方向を検討すべく情報化動向の分析を踏まえ、造船・舶用工業における高度情報化を活かした経営変革の方向性について類型化して整理する。

 

(1) 現状の企業形態下での電子データ交換型

本タイプは、現状の組織を維持しながら、「規模の経済」を目指すことを前提に、その業務効率を向上すべく、各社との間で業務連携を効率的に実施し、産業全体の業務効率を向上させるタイプである。(図表I.5.2-1参照)

この場合に主として必要とされる情報化技術は電子データ交換であり、その対象は、例えば設計・生産業務における技術情報、舶用機器の調達・製品仕様情報、研究成果の技術情報などが挙げられる。特に造船・舶用工業は、船舶の建造とその搭載機器の製造に当たり、受発注取引などの帳票類のみならず極めて多量な技術情報の交換を行っている。これらの技術情報交換(TDI)の電子化が業務効率化を促進することになろう。また、販売・営業、設計、調達、顧客サービスなどの各業務分野の効率化を促進する可能性がある。

これらの電子データ交換が効果を発揮するためには、EDI標準(業務運用規約、情報伝達規約の整備、標準メッセージの作成など)の策定推進、および電子データ交換を活かすための社内システムの整備(企業内CIMなど)が重要になる。効果的な電子データ交換を産業全体で実施することは、業界全体の業務環境の底上げを果たす役割がある。また、効率的な業務の推進による産業全体の競争力を高める可能性も期待できる。

083-1.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION