?分散データの統合管理機能
各社が各々のワークステーションで管理する設計データのインデックスを中央のワークステーションで一元管理する。他社の設計データが必要な場合には、中央ワークステーションを介して管理している会社からデータが送信される仕組みを作る。対象データは、CADデータ、部品表データ、部品構成データ、テキストデータであり、これらの管理作業の効率化を図る。
?技術文書の作成・管理機能
設計仕様書や取り扱い説明書のような大部文書を対象に、電子的な利用を前提とした文書管理システムを開発する。本システムは、文書をSGML形式に変換して登録する機能、文書の構成(章・節・項)単位で履歴を管理する機能、検索・表示機能、IETM機能からなる。本実証実験では、技術文書関連業務の実証性の確認、および実際の取扱説明書、技術変更提案文書を対象に、全プロセスにおけるライフサイクル管理を行う。
?その他機能(ネットワーク機能)
各社のワークステーションは、多種多様な会社が参加できるようにISDN回線によるネットワークを構築し、必要なセキュリティ対策を施す。通信ソフトウエアは、IBM社のパッケージソフト(MQ)を活用する。
3) その他
ボーイング社との連携では、設計期間の30%短縮、組立時不具合の70%減少が実現されており、今後、本プロジェクトの成果が期待されている。
航空機業界は、以下の点で造船・舶用工業に類似するため、生産プロセスにおける国際的な情報共有の取り組みについて、参考になると思われる。
・同じ輸送機器であり、航空機機体会社とエンジン会社や装備会社など多種多様な部材メーカーとの連携で成り立っている。
・設計開発段階で、機体会社と部材会社の共同開発、同時並行作業が多く行われる。
・グローバル商品であり、国際的に競争が激化している産業である。
・グローバルな民需が事業の中心であるが、官需(防需)の存在も大きい。