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(2) 海外船級協会

ここでは、ロイド船級協会(Lloyd's Register of shipping:以下ロイド)における情報化の取り組みを紹介する。

 

1) STEP等のプロジェクトへの参加

欧州では造船業が衰退していくに従って、サブコントラクターの淘汰が進み、専門性の高い企業だけが残っている。また、造船所の船級協会に対する依存度が大きい。このため、STEP、Sea-Sprite等のプロジェクトは、現実的なコミュニケーション・ニーズとして、造船所から情報を共有できないかという持ちかけがロイドにあって出発している。

EMSA(European Marine Step Association)はLloyd's Register、Det Norsk Veritas(NV)等4船級協会、Odense Steel等の造船所をはじめ、船主、ソフトウェアベンダなど18のメンバーから構成され、その目的は欧州の船舶プロダクトモデルの開発と海事産業におけるSTEPの普及等である。

ロイドにとってSTEPの位置づけは、船級協会が造船所や整備から得た情報をフィードバックする、という認識であり、建造から保守までのライフサイクルをカバーするために、船主、造船所等の情報の中心として動いている。 長期的には造船所との情報交換にSTEPを使用していく方向であるが、STEPに至る前の段階として部品等のデータベース化、デザイン及びメンテナンスに係わるソフトウェアの整備等に取り組んでいる。この他、ロイド内においてFEM解析を行っている部分等の図面の自動承認も検討している。

 

2) ShipRightIS (ShipRight Integrated System)

'98年1月にShipRight Integrated Systemが発表された。これは自動承認に至る第一ステップのソフトウェアとして位置づけられる。ShipRightISは、船の全部品、機能をプロダクトモデルとしてデータ化し、ロイドの船級ルールを組み込んだものである。現在は船殻が対象であるが、将来は配管や機器も提供する予定である。

ShipRightISは、ロイドが造船所に無償で提供するソフトウェアであるが、フリーソフトではなく、ロイドの船を作る造船所に無償で提供する。無償の理由は、ロイドの船をデザインしやすいようなソフトウェアを供給することでクライアントの便宜を図るためであり、コスト見積の機能も入っている。

ShipRightISはロイドが造船所に提供するソフトウェアであるので、コンソーシアムのような形ではなく、仕様設計はロイドが行った。ソフトウェアの開発・保守も、ロイドのSystem Development Divisionのスタッフが行っている。 図表I.3.2-3にShip-RightISの画面表示例を示す。

 

 

 

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