2) EDIFACT/X12/CII標準(EDI)
EDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)は、JIPDEC・CII(日本情報処理開発協会・情報基盤センター)の定義では「異なる組織間で、取引のためのメッセージを、通信回線を介して標準的な規約を用いて、コンピューター間で交換すること」となっている。EDIに関して以下の4つのレベルの取決めが必要とされる。
・取引に関する規約(データの安全性、信頼性、費用負担などの取決め)
・業務運用に関する規約(運用体制、災害時の対処法などの取決め)
・情報表現規約(交換データ構造、メッセージフォーマット、データコード取決め)
・情報伝達規約(通信手順などの取決め)
UN/EDIFACT,X12(ANSI),CIIはこのうちの情報表現規約に関する標準である。
・EDIFACT:国連により欧州TDI標準と米国標準が一本化され、1987年にISOに登録。
・ANSI X12:1981年にANSI(米国規格協会)により規定された米国EDI標準。
・CII標準:JIPDEC・CIIによる我が国のEDI標準で、1989年に発表された。
3) STEP(STandard for the Exchange of Product ModelData)
製品のライフサイクルにわたって、製品に関するデータをコンピューターで解釈できる表現をプロダクトモデルという。STEPはその表現と交換に関する標準で、ISO10303として国際規格になっている。
規格書は約100冊の分冊(Part)があり、機能毎に7種類のブロックに整理されている。仕様記述のためにEXPRESS言語が規定されており、規格の曖昧さを除くようになっている。応用プロトコル(AP)では、応用に特化した規格を規定しており、主なものとして以下が挙げられる。
・AP201:2次元CAD製図データの交換規格
・AP202:3次元形状モデル及びそれと連動した2次元製図データの交換規則
・AP203:3次元機械設計における製品の形状とコンフィグレーション管理等
・AP232:プロダクトモデルや文書管理システムのデータ交換
また、APでは機械、自動車、船舶などの業種を対象としたプロトコルも定めている。造船に関してはAP215(配置)、AP216(鋳造品)、AP217(配管)等の規格が開発されている。
4) CITIS(Contractor Integrated Technical Information Service:契約者技術情報
統合サービス)
調達者(ユーザー)がCALSを実施している契約者(メーカー)の技術情報をネットワークによりアクセス可能にするサービスであり、そのサービス要件は以下の通りである。
・CITIS中核機能(受入、承認・否認、コメント、配送通知、受信、検索、保存、表示など)
・CITIS拡張機能(アプリケーションへのアクセス、結合、ダウンロード、編集等)
・データ構成管理(メタデータ管理、データの状態管理)
・情報サービス(マルチユーザ、電子メール、オンラインヘルプ、教育支援等)
これらの要件を満たすCITISシステムは未だ試作段階であるが、ライフサイクルに渡るコストの低減というCALS本来の目的のためには必須であり、実用システムの開発が期待される。