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2. 傾斜隅肉溶接倣い方式の選定と設計

 

溶接の自動化を図る場合、溶接トーチの狙い位置を溶接線に対して溶接中常に所定の範囲内に保持することが必要となる。トーチ位置が適正でないとアンダカット等の溶接欠陥や不等脚ビードの形成を招く場合がある。一般的な溶接では、例えば溶接卜一チの狙い位置ズレの許容範囲は溶接ワイヤの直径と同程度かそれ以下と言われているが、曲がりブロックの部材取付精度をこの範囲に収めることは事実上不可能と言える。したがって溶接線に対するトーチの自動追従機能が溶接ロボットに要求される。

本項では、アークセンサによる溶接線の検出方式の選定、仮付けビードの影響および倣い制御の実用条件について報告する。

2.1 アークセンサ方式の選択

溶接線検出用センサの分類と代表例を図2.1に示すが、曲がりブロックでは溶接線が狭隘でセンサの取付スペースが限定されることやセンサの耐久性・コスト等の観点から本システムではアークセンサ方式を選定した。

 

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アークセンサとは、溶接トーチを開先幅方向に揺動させることにより溶接アーク自体が溶接線の位置を検出するセンサとなるもので、溶接トーチの近傍に何らの検出デバイスを必要としないという特長を有する。原理的には、溶接卜一チの揺動位置に対する溶接電流またはアーク電圧波形から溶接トーチの高さ方向および開先幅方向の位置ズレを検出し、トーチ位置を溶接中リアルタイムに修正するものである。各種センサデバイスを用いる他の方式と比較して、耐久性やコスト、適用範囲の面で優れている。本システムではこのアークセンサ方式により、開先傲い(溶接トーチの狙い位置制御)とトーチ高さ(卜一チ・母材間距離)制御を行うことにした。

 

 

 

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