2) Marida社(Treguier)
同社は、Brestの東約100kmにあるJaudy川河口(海水)にあり、ヒラメの生産量はフランスで最大である。ふ化後の初期(10〜150g)及び中間(150〜450g)育成は川岸に設置している循環式水槽で行い、成魚(約2kg)になるまでJaudy川の中央に浮かべた生け簀で育成している。また、試験的に陸上養殖でも成魚の育成を行っている。
同社のJaudy川河口での生産量は310ton(75万匹)、従事員30人、Jaudy川の水面使用はフランス政府の許可制で、同社は2年後に水面養殖から撤退する予定である。Jaudy川岸は護岸工事を行っておらず、自然のままであった。生け簀へのアクセス用の桟橋などの建設は禁止されており、ボートでアクセスするのは大変であった。
同社での最近の生産データによると、陸上養殖のほうが30%ほど増肉係数が良いとのことである。
写真9にMarida社のJaudy川河口に設置した養殖生け簀の全景を示す。
4) S.C.E.A SALMAS PISCICULTURE社(Plougoulm)
同社はSEDIA社のあるモルレイから車で約20分の広々とした田園地区にあり、周辺は麦や野菜畑で農家が点々とある。トラウト(ニジマス)養殖場のシステムはSEDIA社の自動給餌機や自動管理システムを設置し、順調に稼働している。
養殖場には白いタンクが4基あり、3基が餌用のサイロで、1基が液体酸素のタンクである。自動給餌機は魚の大きさに合わせて13種類の餌の混合比を変えて給餌している
自動給餌や水質に異状が出た時は、ポケットベルで異常を知らせてくれる為、養殖場は通常、無人である。また、停電等非常時の電力バックアップ用の発電機を備え付けてある。
養殖場の概要を以下に示す。
・養殖水槽:幅6m、深さ1.5m、長さ35m×3列(コンクリート製)
・出荷サイズ:500g〜2kg
・養殖期間:14ケ月
・養殖方法:川の水を利用した淡水の掛け流し式
・溶存酸素:8ppm、液体酸素タンクから酸素を水中に抱として吹き込む方式
・年間生産量:500t/年
・従業員:2名(ご主人と奥さん)
・養殖密度:100〜120kg/m3
・餌用サイロ:3基
写真10にS.C.E.A SALMAS PISCICULTURE社のトラウト養殖場の全景を示す。