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1) SEDIA社(Morlaix)

 

同社は、フランスのブルターニュ地方のモルレイ(オルリー空港からブレスト空港へ、Modaix:人口1.2万人)に本社を置き、エアーリキッド社グループに属している。(エアーリキッド社はフランスに本社を置く世界有数の酸素製造会社で、日本ではテイサンがグループの一員である。)同社は、自動給餌機、家畜識別機等の製作を専門としていたが、数年前から養殖用設備の製作に力を入れ、養殖管理システム、養殖設備制御装置等を開発している。

従業員は10名と小規模であるが、フランスをはじめ、イギリス、ギリシャ、ポルトガル、南米チリ等に養殖関連装置を輸出している。

フランスでは海水による養殖は少なく、淡水養殖で中でもトラウト(ニジマス)が多く、養殖業者は約600業者で50,000t/年のトラウトを生産している。

トラウトの養殖密度は約10%(100kg/m3)で、養殖のポイントは溶存酸素であり、高い溶存酸素の中で魚の成長を促進させる事が大切である。

同社の開発システムでは、水の入ったタンク内に酸素を圧送し、溶存酸素を約10ppmにして供給している。溶け込まなかった酸素はまた戻され再度送られる為、酸素を無駄に使わず効率的である。また、養殖設備の配管や水路、水槽の形状等を工夫し、流体損失を小さくしてポンプの消費電力を減少させと共に、用水の熱交換を積極的に行いヒーターやクーラーの消費電力を最小限にするシステムを開発している。

同社の主な製品は以下の通りである。

(a)養殖魚用自動給餌機(AQUAFEED SDAP)

自動給餌機は、養殖水槽毎に給餌の回数、時間及び餌の量等をコンピュータにインプットしておくことにより自動給餌する。供給した餌の総量等、統計的なデータも記録される。餌が養殖水槽に供給されるまでを簡単に説明すると次のようになる。

写真6に養殖魚用自動給餌機の外観を示す。

?数種類の成分の異なった餌を、それぞれサイロに入れて置く。

?コンピューターの指令により、それぞれの餌は必要量センサーで自動計量され、混合される。この時の混合比は魚の成長度に合わせてプログラミングされている。飼の総量はその時の水温によって調整する。

?調合された餌は、水と混合し、1本のパイプで給餌の必要な養殖水槽に送る。どの養殖水槽に送るかは、パイプの途中にある電磁弁やエアバルブを制御して行う。

?餌は養殖水槽のサイドから勢い良く水といっしょに吹き出され広く散布する。

(b)陸上養殖監視システム(監視、データ取得、アラーム、調節装置:AQUALARM)

養殖水槽に酸素濃度、水温、pH,水位等のセンサーを取り付け、それぞれのデータを記録すると共に酸素加給機や給餌機のコントロール、異状時のアラームや電話による警報送信を行う。

写真8にSEDIA社の陸上養殖システムフローの例を示す。

 

 

 

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