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排泄糞量=摂取餌量の7%(ハマチと同程度と推定)

餌の特性:種類はドライペレットを使用。

給餌交率 =投餌量の90%(10%は残餌として回収されるが)

蛋白質含量=50%

窒素含量 =16%

以上を前提にすると、まず給餌量が1,000kg×1.5%÷90%=16.7kg/日となる.

A:給餌量(16.7kg/日)×餌の蛋白質含量(50%)×窒素割合(16%)=1.34kg/日

B:糞量は摂取窒素量の7%であるから、1.34?/日×7%×90%=0.08?/日

C:残餌量は投餌量の10%であるから、窒素分は1.34kg/日×10%=0.13kg/日

D:成長に要する窒素量=日間増重量(1,000?×l.2%=12kg)×魚体の窒素含量(19.1%×16%=3.1%)より、0.37?/日

代謝量=1.34-0.08-0.13-0.37=0.76kg/日

 

すなわち、500gサイズのヒラメを1トン養成するには、毎日16.7?のペレット餌が必要であり、760gの窒素分が負荷として排泄されることになる。ヒラメの場合、排泄窒素量の75〜80%がアンモニアであることから(Jobling25)、1981)、アンモニア排泄量は570〜608g/日と推定される。ちなみに、電力中央研究所が行った試験報告では、600gサイズのヒラメを1トン養殖した場合のアンモニア排泄量は240g/日となっており、上記理論値との差が大きいが一つの目安として利用することができよう。

 

佐野は生物化学的酸素要求量(BOD)の観点を加えてアユ養殖における投餌量と排泄有機物量の関係を説明している。魚体有機物1gを酸化分解するのに必要な酸素量は0.7gであるとの前提にたち、代謝量を酸素消費量から推定する方法であるが、酸素消費量が水温、魚体サイズあるいは餌摂取時間やストレス等との兼ね合いで大きく変化することから、この方法でも理論値にばらつきがでてしまうことになる。

 

魚類の窒素排泄量を魚体重と水温の関係で表す方法もある(Paloheimo&Dickei24)、1966)。

EN=αθ×Wγ

EN

αθ:温度θ度Cの時の窒素排泄量

W:魚体重(生)、g/尾

γ:係数(魚体重g当たりの窒素排泄量)

また、田中と門脇は養殖ヒラメの測定を基に、以下の関係式を導いた(養殖ヒラメの窒素排泄の動態、1995)

EN(20)×Q01(θ-20) ×Wγ

α(20)=0.06、Q01=1.12、γ=0.57

これからの陸上養殖技術では、餌の開発と同時に残餌を発生させない方法や、残餌を速やかに回収する方法が発展するしまた、アトランティックサーモンのように意図的に水流を作って魚を遊泳させる方法進むことになる。すなわち、これまでのデータでは不十分な局面が多々出てくる訳で、今後、陸上方式での実務的なデータを積み重ねる必要があろう。

 

 

 

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