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非解離アンモニアによる中毒症状としては、体色の黒化と鰓の褐変が特徴である。

魚類の排泄物中の有機物量に対する全アンモニア量の比率は10分の1程度であり、アンモニア態窒素量を1ppm以内に抑えておけば、アンモニアによる問題は発生しない。また、硝化が進んでNO3態にになれば、その50倍以上高濃度でも魚への影響はない。

<亜硝酸(NO2-)>

細菌等の作用でアンモニアが酸化(硝化)されて亜硝酸ができるが、この中毒にかかると、血液の酸素輸送能力が低減し、アンモニア中毒と同じ症状が現れる。許容量は亜硝酸態窒素(NO2--N)で 1〜2 ppmとされている。

<硝酸(NO3-)>

亜硝酸がさらに酸化すると硝酸となる。ニジマスの許容量は370ppm、ウナギやヒラメも許容量が高く300〜400ppm程度までは問題がない。電中研のヒラメ飼育実験では900ppmでも生存には問題がなかった。ただし、順調な成長を期する場合には、極力低く抑えることが望ましい。

 

3.3.2 養殖に適する魚種

既に養殖が行われている海産魚類としては、ブリ(ハマチ)、マダイ、イシガキダイ、チダイ、クロダイ、トラフグ、マフグ、ヒラメ、マアジ、シマアジ、カンパチ、ヒラマサ、スズキ、カワハギ、ギンザケ等がある。また、淡水魚類としては、ウナギ、ニジマス、ヤマメ、アマゴ、イワナ、トラウト、アユ、コイ、フナ、ティラビア(いずみだい、ちかだし、くるひめだいとも称す)、ボラ、ドジョウ、ナマズ等がある。魚類以外のものとしては、クルマエビ、サワガニ、ホヤ、スッポン、食用ガエル等が知られている。いずれも永い研究の歴史と、幾多の失敗を繰り返しながら今日の地位を築いたものであるが、最近は交配技術や遺伝子操作技術の進歩によって、新たな種類がどんどん生まれているので、紹介する。

イ)マツカワ カレイ科の冷水性魚(14℃程度)。市場出荷サイズは25〜30?で、非常に美味と言われる。2年余で1kg程度に成長し、相場は4,500円/kgと高い。釜石市の県水産技術センターが平成8年8月に大量孵化に成功し、現在、釜石市のサンロック(株)が種苗を生産中。岩手県唐丹町では平成7年から養殖を開始しているが、冬季間に陸上の水槽で育て、春に湾内の生費に移し、養成する方法をとっている。

ロ)マハタ スズキ目ハタ科で、南日本からインド洋に生息する。成魚は最長1mに達する。味が良く、刺身用、鍋用に珍重される。越智郡伯方町の会社バイエヒメが稚魚の量産化に成功し、現在、三重県南島町で養殖されている。約2年半の養成で1.7Kg〜2Kgサイズにし、冬場に出荷する。売値は2,800円/Kg程度。

ハ)クエ マハタ、キジハタ、スジアラ、ナミハタ、ヤイトハタ等と同じハタ類であり、非常に美味な高級魚であるが、種苗生産技術はまだ本格的に開発されていない。(社)日本栽培漁業協会が現在取り組み中であるが、1997年に僅か2万尾の生産を上げただけである。もともと漁獲量が少ないために天然親魚の確保が難しい、産卵回数も少ない上に受精率が低い、餌付きが悪い、VNN(ウィルス性神経壊死症)の垂直感染によると思われる発症

 

 

 

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