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炭酸、アンモニア、リン酸となりメタルキレートなどを伴って環境水中に回帰する。アンモニアの硝化にさらに128gの酸素が消費される。ハマチが鼻上げを生じない溶存酸素限界は4mg/1である。

(村上、1986、「漁業からみた閉鎖性海域の窒素・リン規制5)」、恒星社厚生閣)

 

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水産大学校増殖学課の山本・島・山下・綿石らは海産魚各種の酸素消費量を測定し、体重との関係を算出した(「海産硬骨魚類36種の安静状態での酸素消費量と体重の関係」、1989より)。魚を入手してから実験終了までの7〜12日間は給餌をせず、安静状態で測定した結果、酸素消費量(M、ml/分/尾)と体重(W、g/尾)の関係は、水温21.4±0.4℃ではM=0.00401W0.786であり、水温26.2±0.8℃ではM=0.00534W0.811となる。また、遊泳性の大きい魚種の方が、底生魚よりも代謝量が大きいことが認められた。

 

<炭酸ガス (CO2)>

水中の溶存CO2の増加は魚類の血中CO2濃度を上昇させ、ある濃度以上になると、呼吸中枢への直接効果が著しくなって、酸素消費量を増進させる。また、水中のCO2の存在は必然的にPHの低下を引き起こすので、CO2の排出に留意する必要がある。

<懸濁物 SS>

粘液、剥離した組織片、糞などの懸濁物は、魚の鰓に付着してその有効ガス交換面積を小さくしたり、水と血液との距離を大きくして酸素摂取を妨害する。また、これら有機物の懸濁物が細菌によって分解されると、水中酸素を減少させることになる。

<アンモニア (NH3)>

魚類が排泄する尿中の含窒素性終末産物としては、尿素、トリメチルアミンオキサイド、アミノ酸、クレアチン、クレアチニン、アンモニア、尿酸等がある。この中で最も量が多いのはアンモニアであり、次いで尿素、クレアチンの順となっている。一般に淡水魚は尿量が多いが、含窒素性終末産物が少なく、逆に、海産魚は尿量が少ないものの総窒素量は多い。尿素自体は無害であるが水中で速やかに分解されてアンモニアとCO2となる。水中のアンモニアは解離してアンモニアイオン(NH4+)と、非解離のアンモニア(NH3)の形で存在するが、その割合は全アンモニア量と水温及びPH値から計算で求めることができる。両者とも毒性が強いが、水温とPHが高いほど毒性はさらに強くなる。毒性を生じないアンモニアの限界濃度はハマチの場合で、0.3mgN/lである。

 

 

 

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