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ウナギ Anguilla japonica

River eel nei

わが国のウナギ養殖業は、明治12年に始まり現在に至るまで様々の変遷を経て発展してきた長い歴史がある。明治中期から昭和44年までの導入期においては、養鰻は露地池により鮮魚、冷凍魚、蚕サナギを利用して養殖されていた。ウナギが冬眠するために出荷まで1年半を要したが、経営の収益性は高かった。昭和45年から52年の間の成長期には、配合飼料による加温式ハウス養殖が行われるようになった。収益性はさらに良くなり、中国地方や九州地方に産地が拡大した。さらに高収益に着目して、台湾、中国においても養鰻経営が始まり、我が国への輸出が増加してきた時期でもある。昭和53年から昭和59年の競争期には台湾からの輸入が急増し、販売価格は弱含みに推移し、我が国の養鰻経営の収益性は低下した。しかし、消費者にとっては、加工ウナギの増産によってウナギは家庭用惣菜として利用しやすいものとなった。昭和60年から現在に至るまでは成熟期と言える。ウナギの輸入量はさらに増加し、国産のシェアーは30%にまで落ち込んだ。販売価格も低迷を続け、養鰻経営の収益性は低下している。

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平成7年度における我が国のウナギ消費量は、活で42,000トン、加工品で36,200トン(活鰻換算では60,200トン)、合計78,200トンである。供給面では、国内の養殖生産量が3万トンの大台を切って減少傾向にある反面、中国からの急増が顕著である。中国では1970年代になってから、ウナギ養殖業が導入されたが、ウナギブームと言えるほどに近年養殖が盛んになってきた。急増の理由は自国でのシラス採取が可能であること、土地や人件費が安いこと等によるものであるが、急速な発展によりシラスの確保が難しくなり、フランス等からヨーロッパウナギの稚魚を導入し始めている

シラス採捕

ウナギ養殖における最大の問題はシラス採捕量の減少と、それに伴う価格の急騰である。平成9年にはついに100万円/kgをこえる超高値となっており、国内養鰻業者は以前に試みたヨーロッパウナギ等育成に再度目を向ける必要性も出てきている。ウナギの生態はまだまだ未知の部分が多く、人工種苗開発も確立されていないが、水産庁養殖研究所はこの度親魚を人為催熟せしめ、人工受精

 

 

 

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