ノルウェーのサケ養殖
ノルウェーの養殖の歴史は30年足らずと浅いが、今や、世界をリードする最先進国になっている。養殖魚の95%は大西洋サケ(アトランティックサーモン)で占めているが、養殖業躍進の理由は、サケ養殖に適したフィヨルドの存在が大きい。沿岸に散在する養殖場の数は約690あり、ここで約5,000人が直接養殖にたずさわり、関連部門を含めると約11,000人がサケ養殖に従事している。養殖場の他に、228の孵化・稚魚飼育場があり、大西洋サケの場合、50〜60gまで陸上で孵化・飼育し、その後オープンケージの養殖場に移し、約2年で出荷する。ノルウェーが世界の養殖の最先端を走っているといわれるのは、抗生物質の使用禁止や、廃魚・死亡魚の取扱基準等の法律による厳しい規制のもとで、業界が総力をあげて技術開発に努めてきたことによる。餌の改良、魚病用ワクチンの開発により、増肉係数1.0という驚異的な数値を達成し、池入れ後の歩留まりを85%にまで高めることができる。さらに、海水を取り込む陸上養殖方式により、100gの種苗から10ヶ月で出荷サイズにまで育てることも可能となった。その他の周辺技術の開発も