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1994年の海面漁業からの漁獲量の増加は主としてエル・ニーニョにより大きな変動を受けた南東太平洋のアンチョビー漁獲増大による。これらの漁獲物からは一般的にフィッシュミールと魚油が生産され、アンチョビーはこの加工法に用いられる最も大きな単一種となっている。そのこともあって1994年に人間の直接消費に利用された魚の純増加量は、ほとんど養殖生産によって生産されたものである。1995年の全漁業生産1億1230万トンのうち、3150万トンがフィシュミールおよび魚油生産に利用されたと推定される。

世界の漁業において最も問題になっているのが乱獲と投棄である。FAOによると世界の海面漁業生産量の77%を占める上位200種の資源状況は、全体の35%が水揚量の減少する「老化」段階にはいっており、今後資源を回復させるためには少なくとも30%の漁獲努力を減少させる必要があると結論づけている。さらに1994年にFAOは、世界の漁獲量のうち混獲魚の占める割合は、以前に考えていたよりもだいぶ大きく、1年間に平均2,700万トン(年間生産量の約32%)もの量が投棄されていると発表した。

世界の養殖生産は1980年代から拡大傾向にある。1994年の養殖による魚類、甲殻類、貝類、海藻類の生産は2千550万トン、出荷価格で398億3000万ドルの史上最大値に達した。魚種では、中国のコイ科の魚、日本、韓国、フランスのカキやイガイ、フィリピンとインドネシアでのミルクフィッシュなどが卓越している。

日本の海面漁業生産量は、平成8年にはついに6百万トンを割り込む事となった。養殖生産も伸び悩んでおり、水産の総生産量は10年前の60%にまで落ち込んでいる。代わって、水産物輸入量はここ数年、320-850万トンを維持しており、飼肥料を除くわが国の魚貝類自給率は、昭和60年の86%から、平成7年には59%にまで落ち込んでいる(農林水産省 食料需給表)。

 

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