日本財団 図書館


一方、水産養殖に対する期待は強い。世界の養殖生産は、コイ等の淡水魚を中心に、イガイ・ホタテ等の貝類、エビ、鮭鱒類、テラピア類と急速な増大傾向を示している。中でも鮭鱒類の増大は目覚しく、天然も含めた鮭鱒類総生産量の半分を占めるに至っており、今後もますます増加の可能性がある。ただ、これまでの投餌型養殖法は、餌料効率が悪く、むしろ資源を浪費しているとの批判もあるし、残餌や魚の排泄物により、内湾の水域環境を悪化させているとの指摘もあることは認識しておくべきであろう。

008-1.gif

西暦2050年には100億人に達するとの推測値もある世界人口だが、その場合の食料確保はどうなるのであろうか。もし、その推測が正しく、現在の科学に特別な進歩がなければ、数億人の人が飢餓状態に陥ることは避けられない状況である。今後50年間で人口が約2倍になるのに対して、食料供給は、水産物の天然漁獲の増大が見込めず、穀物生産ではせいぜい1.4倍(約28億トン)にしか増産が期待できないからである。

008-2.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION