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3. 調査結果

 

3.1 海洋環境と漁業の現状

3.1.1 食料事情と漁業の現状

地球の表面積の70.92%を占め、13.7億立方キロメートルの水を湛え、地球の生命を創り、そして今も地球上のあらゆる生命体に活動の源と、様々な富を分かち与えている海。私たち人類の繁栄の歴史は、海の恩恵をいかに利用するかの歴史でもあった。

しかし、20世紀に入ってからの急激な人口増大と産業発展は、海に対して過酷な条件を押し付けてきたようである。人類の活動の副産物による気温の上昇は、海水面の変化と世界的な異常気象を招き、陸上からの生活・産業廃棄物による海域汚染は、公害という新たな病根を作り出すこととなった。私たち人類が、海と自然の浄化能力に限界があると気づき出し、そのことを世界的な問題として取り上げたのは、、1968年の国連総会が初めてであった。次いで、1972年にはストックホルムでの国連人間環境会議において世界環境会議(UNEP)が設立され、環境問題を人類共通の課題として取り組むことが確認されたが、この頃はすでに、各種化学物質の廃棄に伴う汚染が世界的に表面化していた。以後、人類は多大な犠牲を強いられながら、海と自然との共生の道を探ることになる。

海洋は広大な資源の宝庫とみなされてきたが、水産資源に関しては限界に達しているとの見方が強い。世界の水産物総生産量は、1985年には9千万トンであったが、1995年には1億1千2百万トンと、10年間で約2千万トン増えている。このうち、養殖生産量は2千1百万トンと、10年間で倍増している。この養殖による増加分1千万トンを差し引くと、天然の漁業生産自体は10年間で約1千万トン増ということになる。しかし、最近の各国の漁業動向を見ると、主要魚種であるイワシ類や、ニシン等のプランクトンイーターの漁獲量に頭打ち傾向があり、今後の天然の漁業生産は8千万トン程度が限界では、とも言われている。

 

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