(ア) 既存CAD側に基本構造情報が存在しない場合
これはPM側で構造部材情報が生成され、既存CAD側は白紙の状態となっている場合である。従って、転送対象は以下のデータとなる。
縦強度部材 横強度部材 2次部材(詳細構造は未定義)
ブロック分割線 板厚などのスカントリング情報
ここでは船単位でデータの転送が一般的と考えられるが、既存CAD側の詳細設計はブロック単位で設計されるものも多く、その場合はブロック単位でデータを転送することになる。
(イ) 既存CAD側に基本構造情報が存在する場合
これは、シナリオ(a)においてPMに転送した設計初期情報が既存CAD側に存在する場合である。転送するデータのくくりは、基本的に上記の(ア)の場合と同じく、船単位またはブロック単位とするが、PMで追加された情報または指定した情報だけを転送する場合もあるものとする。ここで、既存CAD側の基本構造データが変更されている場合は、システムが自動的に整合性を取ることは困難であるので、整合性の維持はユーザーの責任で行うことになる。
(c) 既存CADで詳細構造を定義後にPMへデータ転送
PMを用いた工程設計を行うため、既存CADで定義された情報をPMへ転送し、詳細構造を含めた全ての船殻構造情報が転送される。ここではPMに上記の(b)以前の時点で定義された構造部材情報、ブロック分割線情報などが変更されずに保持されていることを想定しており、それらの情報に詳細構造情報が追加される形で生成される。
(d) PM側で工程設計を行った後に既存CADへデータ転送
工程設計を行った後の中間製品情報、構造部材情報及び工作情報などを既存CAD側に転送する。既存CAD側では、これらの情報を加工してNCデータの生成など下流システムにつなぐ。
(3) 艤装モデルデータの交換に関する機能要件
艤装CADとPM間のデータ交換のシナリオとしては以下を想定した。
(a) 既存CADで概略の機器配置が定義された後にPMへデータ転送
既存CADにおいて一般配置図の機器配置を定義し、PMへデータを転送する。
(b) 既存CADで管系統や電線系統が定義された後にPMへデータ転送
既存CADにおいて管系統や電線系統を定義し、PMへデータを転送する。ここまでのシナリオの(a)と(b)によって、3次元空間内の機器位置と、それらを結ぶ系統情報がPMに格納され、配管予量など初期管理物量の自動算出を行うアプリケーションに利用することができる。