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に連動する艤装設計においては、出図日程管理が重要である。現在、ほとんどの造船所では進捗状況や出図予定日の問い合わせが、電話や口頭ベースで頻繁に行われている。

ここでは、現在造船所で一般的に行われている図面単位の設計進捗管理について、プロセスモデルの利用例を述べる。

まず、設計業務フローをプロセスモデルで定義する。プロセスモデルでは、設計着手や図面承認等のイベント、担当者、PMへの設計情報定義状況、図面に含まれる情報の依存関係、図面完成予定日等が表現される。また、予め標準的なプロセスモデルをいく通りか(例えば船種ごと)用意しておき、適当な標準プロセスモデルを基にフローの修正を行い、担当者と日程を設定した後実業務に適用する。

設計業務が始まると、設計者はモデル情報とともに、「検討中」、「仮図」、「確定」など図面のステータス情報をPMに格納する。設計業務の進行につれて、PMのモデル情報やステータス情報は変更が加えられてゆく。進捗管理ツールは、これらPMの情報と、先に定義したプロセスモデルの日程、担当者の情報を参照して下記の支援を行う。

? 設定した予定完成日になっても完成しない図面がある場合、電子メールで関係者に遅れを通知する。また、参照している図面の情報や出図日程に変更があった場合も、同様に通知される。これを受けて、各設計者は自分の図面の修正やスケジュール変更を行う。

? コンピューターの画面に図面単位の進捗状況一覧を表示する。PMのモデル情報とステータス情報及び完成予定日から出図遅れの可能性が高い図面を判断して反転表示する。これを見て、管理者は遅れを事前に察知し、担当者に注意を促す。また、前工程の進捗遅れが原因の場合は、前工程の管理者に催促する。

? 設計作業開始前に、自分が参照する図面の進捗度一覧が画面に表示される。これを見て設計者は見込みで設計開始するか、あるいは、確定度が上がるまで先に他の図面を作成するかなど、自分の作業スケジュールを調整できる。

このようにプロセスモデルを利用して設計ステージの進捗管理を支援することによって、全体進捗状況に関する情報共有、進捗遅れへの素早い対応、責任の明確化が図られ、設計信頼性を向上することができる。

次に、エンジニアリングレベルとプロセデュアレベルに対応する具体例として、PMとプロセスモデルとの連携による設計支援のイメージについて述べる。ここでは、3.4.2で述べた船殻基本設計の業務プロセスの一つのアクティビティである「ホールド内のトランスリングの設計」を例とする。

船殻基本設計の設計プロセスモデルは、一般に「ホールド内のトランスリングの設計」のような、構造単位の設計作業であるアクティビティの集合として構成される。一つのアクティビティに含まれる具体的な設計手順は、プロセデュアとしてプロセスモデルに表現される。「ホ

 

 

 

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