(6) まとめ
今回の調査の結果、本開発研究ではInConcertを利用して実験と開発を行うことにした。各社の製品の性能は実際に開発に利用しないと優劣が付けにくいものであるが、本開発研究での選択理由は以下の通りである。
・国内で十分なサポートを受けられる
・ 既に他のユーザーに使用されている実績がある
・ 内部にモデル情報を保持できる
・ WfMC仕様に準拠あるいは準拠することを予定している
・ ユーザープログラムとの統合が容易である
今後、ACIMリファレンスアーキテクチャに基いたシステム開発のコンポーネントとしての利用方法能力について検証していく予定である。
3.4 プロセスモデルの造船への適用
3.4.1 プロセスモデリングの位置付け
GPMEで定義されたオントロジの枠組みの拡張と、知識共有のための分散環境におけるユーザー支援の枠組みの提供は、本開発研究における重要な目標の一つである。プロセスモデリングはこれら両者の目標達成において重要な役割を果たす。
第1に、プロセスモデルは部署間や企業間のプロセス情報を共有することを可能とする。もし、本開発研究のプロセスモデルがプロジェクト管理レベルから設計手順レベルまでのプロセス情報をカバーできれば、プロセスのドキュメント化、異なったユーザー間でのプロセスモデルの交換、将来の技術者への知識の蓄積が可能となる。
第2に、プロセスモデル及びプロセスモデルに基づくアプリケーションは、現状のプロジェクト管理を改善できる。プロセスモデルと、それに基づくアプリケーションの支援によって、プロジェクト管理者はプロジェクトの進捗を監視することが可能となり、問題となる部分を発見し、プロセスモデルと監視情報に基づいた管理戦略を決定することが可能となる。
第3に、プロセスモデルに基づいて複数の技術者間の協業を支援するため、プロセスモデル情報とプロセス実行情報を監視するアプリケーションを開発することが可能である。アクティビティ間の機能的な関係を調べれば、技術者はだれが担当者かを特定できる。例えば、技術者Aが他の技術者Bが決定するパラメータ値を必要とする場合、技術者Aは技術者Bのプロセス状態をレビューし、値の決定を待つのか、あるいは値を仮定して作業を進めるのかの意志決定をすることができる。後者の場合、プロセス管理アプリケーションシステムは、技術者Aは、仮定値に基づいて意思決定を行ったことを記憶しており、正しい値が生成された時点で、システムは全体の設計整合性を保つため、技術者Aに仮定をチェックするよう注意を喚起す