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2.5  知識共有環境の実現レベル

ここまでに述べたように、本年度は知識共有を実現するための基盤技術と関連技術及びCORBA適用事例等について広く調査して要件を明らかにした。この要件を実現するリファレンスアーキテクチャとして2.2.2で示したACIMリファレンスアーキテクチャを策定した。更に、本アーキテクチャの基盤となるCORBAに関して市販CORBA製品を利用したプロトタイピングを実施し、利用技術を蓄積するとともに、適用時の問題点や検討課題がないかを検討した。ここではまず、ACIMリファレンスアーキテクチャを実現していく際に配慮すべき点について述べる。次に、本年度実施したこれらの調査及びプロトタイプによる検討結果に基いて、限られた期間内にACIMリファレンスアーキテクチャをどこまで実現するかのレベルについて述べる。そして、最後にACIMリファレンスアーキテクチャ適用の具体例について述べる。

(1) リファレンスアーキテクチャ実現時の考慮点

情報・知識共有環境を実現するに際しては、前述のボーイング社及び国内他産業のCALS発表事例が参考となる。それらのプロジェクトでは、従来からの既存システムと新規に作成するシステムをいかに効果的に統合するかについて、実装面からの考慮が払われている。

まず、ボーイング社においては、既存システムを新しいORB体系に組み入れる時、既存のアプリケーションを全体として少数のIDLインタフェースを介してアクセス可能とした。既存システムの各機能コンポーネントは、技術的にはIDL化されたインタフェースをかぶせることで新システムからでも使えるが、実行速度の劣化や改造の手間などを考慮した結果、機能粒度が大きい方が得策と判断している。

国内のCALSプロジェクトにおいては、主として新規にシステムを構築した例が多く見られ、そこでの実装面での配慮をまとめると次の8点となる。

(a) CORBAとDCOMの共存

データベース管理機構にかかわる部分はCORBA中心とし、GUI部など人間系に近い部分はWindows環境(DCOM)を使用する。

(b) GUI部は使い慣れたツールを利用

GUI部はWindows上でよく使われているVisualBasicなどのツールを用いて開発し、システム開発工期の短縮や利用部門でも手直しが可能というメリットを追及する。

(c) ユーザーインタフェースにインターネットブラウザーを利用

利便性が高く、文書に限らずマルチメディアデータとして対応しているインターネットブラウザーをユーザーインタフェースとして統一する。

(d) ODBとRDBの併用

複雑なデータ構造を持つ情報管理には適しているODBと、単純な部品表の検索等の用

 

 

 

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