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5.3 近代化船の経済性

今回の内航船では機関室のサブシステムをモジュール形式で予め工場製作するという建造法を採用したので、その効果を調べた(表5-3-1)。 表は機関室の建造工数を機器の据付、機関室内の配管について調べたものである。この結果を見ると、配管工数では25%の減になっているが、据付工数では25%の増になっており、総工数ではほとんど同じになっている。この原因として、モジュールの図面が遅れた為に据付台図と配置が決められないことによるロス、納期遅延によるロスそして従来船と違う艤装方式による現場の戸惑い等を造船所では指摘している。配管についても、モジュールと船内の配管の接続をゴム式にする予定であったが、メーカーの都合で変更になるなど、初めての経験から来る予定外の事態への対応が工数の増加を招いたと総括している。

今後、モジュールの小型化と量産化、先行艤装の採用で据付工事は1200時間ぐらいの工数減が可能になると造船所では試算している。また、配管については熟練工が不要になること、ゴム式接続では1000時間程度までに削減できると見積もっている。

同様な効果は統合操船システムを搭載した操縦室に対しても指摘可能である。つまり、統合操船システムの場合には機器間の接続工数は相当に減少するはずである。

初めての試みの段階で、このような方法の建造における省力効果までを試算するのは困難であるが、事柄の性質上、省力と現場の技量依存性の軽減が期待されることは容易に理解される。

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