? 航行環境による使用実績の比較
図4-1-8に航行環境の違いによる操縦モード使用の割合を示す。ここでは、輻輳した海域とある程度開けた海域との比較を行うため、輻輳した海域として瀬戸内海周辺を抽出するものとし、福山港を基点として航程150マイル以内の航海(下松〜福山〜堺・泉北間)を対象とした。一方、ある程度開けた海域としては太平洋沿岸域を抽出するものとし、航程が300マイル以上の航海(京浜〜福山)を対象とした。
グラフに示した各モードの使用割合は平成9年5月から平成10年2月までの全運航員の組合わせによるものであるが、輻輳している海域では専らオートパイロットによる操縦が多く、また沿岸域ではオートパイロットと船位誘導がほぼ同じ割合で使用されていることが分かる。
図4-1-9に沿岸域での船位誘導モードによる航行例を示す。当該航海は、福山港から東京湾(京浜)へ向かう計画であり、通常であれば沿岸を辿る航路とするものの、船位誘導機能によって、直線的に東京湾へ向かう航路としたものである。オートパイロットでは、天候調整等の修正機能はあるものの、基本的には針路制御機能であり、厳密にコースラインからのずれを制御するものではないため適宜運航員は船位の確認に留意する必要があるが、船位誘導機能は外力の影響を考慮して船位を制御するため、運航員の位置把握にかかる負担を軽減することができる。
図4-1-9に示すように、内航近代化実証船はコースライン上を航行することができ、運航員の負担を軽減する意味で有効であることが確認できた。