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形態にしたもので、水槽実験による結果では、従来のオイルフェンスの3倍の流速まで包囲した油を保持できたとのことであった。

合衆国沿岸警備隊におけるヒアリングでは、本年度には稼働試験にはいるとのことであったので、改めてその開発進行状況と成果について情報を収集することが望まれる。

流出油に限らず、複雑な構成の国体内に存在あるいは浸入した高分子化合物の抽出の一方法として、マイクロ波による抽出方法がある。

Environment Canadaのマイクロ波応用過程部門においては、流出油に浸された砂の浄化にマイクロ波を用いる方法の研究を行っている。この手法は、物理的に連続で抽出可能な形態を持った油混人物(ここでは油と砂の混合物)にマイクロ波を照射して分離後、非含水性媒体の中に油分を抽出するもので、抽出装置はマイクロ波照射装置、溶媒、冷却器、供試体収納器、抽出後の貯蔵器等の複数段階から構成されている。ヒアリングの際に対応してくれた担当官の話では、この装置で1時間に1tの汚染砂の処理が24時間連続で可能とのことであった。

表3-5-1は、これを従来の蒸気による抽出手法と経費の面から販売価格の相対値として比較したものであるが、マイクロ波による手法は、従来の手法に比較して処理過程にかかる費用と人件費が半分程度となっている。

 

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3.5.3 流出油拡散漂流シミュレーション

油流出事故が発生したとき、時事刻々と変化する油膜の位置、形状あるいは性状を予測・計算することは、効果的な防除対応資機材・対応方法の選択や防除対応チームの配置を考える際に極めて重要であり、過去から近年にいたるまで、これに関する研究が盛んである。従来のシミュレーションモデルでは、二次元のものが主流であり、流況シミュレーションモデルの改良型といった感があったが、最近では、多くの時空間的パラメータを考慮した実際的なものになりつつある。

国内では、流出油の素過程や性状あるいは、気象条件の変化を考慮し、これのデータ入力、計算、出力をGraphical User Interface(GUI)で操作できるものも開発されてきている(シップ・アンド・オーシャン財団,1997、他)。こういったシミュレータでは、潮流、海流、吹走流等を含む流況予測、予測対象海域の風の場の予測、油性変化(風化)の予測、油の移流拡散予測等を統合した実際的なものになりつつなる。

海外でも、計算速度の向上と精度の制御を目的とした実際的なシミュレータの開発は進んでい

 

 

 

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