以上、流出油の機械的回収作業における防除資機材の運用方法について記述したが、破砕波の有義波高が3.5〜4mを超える場合、機械的回収作業の効率は急激に低下する。図3-4-4は、有義波高と機械的回収作業の効率の関係を表した有効性評価曲線である(Rodal, 1997)。この曲線から推察すると有義波高4m前後で回収効率がほぼ0になることがうかがわれる。
破砕波が発生すると、流出油はほとんど海面から姿を消し、海中に取り込まれる。油が比較的大きな油滴に分裂した場合、これは波高とほぼ等しい水深まで潜行する。この場合、油滴は天候回復とともに海面に再浮上する可能性がある。油滴径が小さい場合には、自然に海中に拡散する。またこれらにの現象加え、破砕波が発生するような条件下では、波動によって流速が増大するため、海面上及び海面付近に残っている油分をオイルフェンスに取り込んで回収することは、不可能である。