3.3.5 日本
現在、国内における流出油防除資機材は、海上保安庁の保有するものの他、海上災害防止センター保有資機材、海防法に基づき船舶保有者等に保有が義務づけられた資機材、石油コンビナート等災害防止法に基づき石油コンビナート等の事業者が保有する資機材等、以下の項目に分類される。これらは、海上保安庁を含め、主に石油コンビナート等、事業所の集中する地区で備蓄が進められてきた。以下、この状況について機関毎に記した。
(1)海上保安庁
タンカー入港隻数、危険物取扱量等を勘案し、油流出事故発生の可能性が高い港湾を管轄する部署に配備しており、オイルフェンス、油回収装置、油回収艇、油防除艇、オイルフェンス展張挺、高粘度油回収ネット、分散処理剤空中散布装置、分散処理剤、油吸着材の配備を進めている。
(2)海上災害防止センター
船舶所有者への排出油防除資機材保有義務と油回収船配備義務を代行する海防法第42条の36第1項第3号及び同法第39条の3の業務を実施するため、全国33の資機材備付基地に所要数量のオイルフェンス、油処理剤、油吸着材、油ゲル化剤及び油回収船等11隻を配備している。
(3)海防法に基づく資機材の備え付け
海防法第39条の3に基づき、総トン数150トン以上の特定油を積載したタンカーの船舶所有者及び係留施設の管理者、船舶から陸揚げまたは船舶に積載する特定油500kL以上を保有することのできる施設の設置者が、その船舶の総トン数または施設の規模に応じた所要数の排出油防除資機材を保有しなければならない。
(4)石油コンビナート等災害防止法に基づく資機材の備え付け
石油コンビナート等災害防止法に基づき自衛防災組織の設置が義務づけられている特定事業者が、同法第16条第4項に基づき、オイルフェンス及び油回収船、オイルフェンス展張船等をその事業所の規模に応じた所要数を保有している。
(5)国家石油備蓄基地に係る広域協同防災体制の資機材
国家石油備蓄基地においては、海防法及び石油コンビナート等災害防止法に基づき排出油防除資機材を備え置いているが、各基地の立地する周辺海域は、気象、海象条件が厳しく、また、海上交通環境の整備も十分でないところから、海上保安庁の指導により、基地へのタンカーの入出港にあたっての事故対応として、近隣の基地が共同で防災基地を設けることにより、防災体制の充実強化を図っており現在、函館、佐世保、鹿児島に防災資機材を搭載した防災艇を配備し、海上災害防止センターにその管理、運用を委託している。
(6)石油連盟による油濁防除資機材基地
大規模な油流出事故が発生した場合、船会社や石油会社等の災害関係者及び関係国政府の要請に応じて貸し出すことを目的として、大型オイルフェンス及び油回収装置を中心とした資機