3.3 防除資機材の配備状況
海外及び日本国内における油防除資機材の配備状況について、既往文献の収集、国内外の専門家、研究機関、回収業者、等を対象としたヒアリングを実施し、各国における防除資機材の配備状況を主にその配備のコンセプトの観点からとりまとめた。また、米国沿岸警備隊(USCG:United States Coast Guard)や海洋油流出事故対策株式会社(MSRC:Marine Spill Response Corporation)等は、インターネット上で防除対策チームの配備状況等を紹介しているので、これらも参考にした。
3.3.1 アメリカ
アメリカにおける流出油防除資機材の配備状況は、USCG、MSRC、民間流出油対応組合の配備状況と言い換えることができる。USCGの担当区域及びMSRCの配置については、3.1.1項で示したとおりであるが、ここでは、これらのうち、ヒアリング調査とインターネット経由で収集したMSRCの防除資機材配備状況について各支所別に一覧にした(表3-3-1)。MSRCは、この配備により事故通報受信後、2時間以内の出動、24時間以内に事故現場に到着することを目標としている。
全体の配備状況を見ると、オイルフェンスについては、Sea Sentry ?とSlickbarが多い。また、油回収装置については、全体の半分近くの支所がTransrec 350を配備しており、荒天時の外洋における防除対応を想定していることがうかがわれる。
バージ、タグボートの類は、ほとんどの支所が所有しているが、回収油貯蔵施設は主として対応アラート支所(responder)を中心に配備されている。
昨年実施した海外ヒアリングにおいてMSRCの担当者からは、MSRCの新しい営業品目としての「すべての規模の油流出への対応」には、荒天時の外洋の条件を含んでいるとの回答を得た。