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(3)導入式油回収装置

導入式油回収装置は、海面に浮遊している流出油を海水とともに回収装置内の油水分離槽に導入し、槽内で油と水の密度差等による分離能を利用して流出油を回収する装置である。

この方式においては、油と水を導入するため移動性が必要であることに加え、装置の系として分離槽、回収油移送ポンプ等を装備しているため、ほとんどの種類が自航式かあるいは船艇に組み込まれて使用される。

この回収装置は、薄い油膜状のものから厚い油層に至るまで流出油を効率よく回収することが可能であるが、油の回収率や回収油の貯蔵能力は、装置の大きさに依存し、荒天時における回収効率はプラットフォームの運動性能に大きく影響を受ける。また、流出油以外の固形浮遊物は、油水の導入・分離に支障を来すため、通例油水導入口には浮遊物回収装置が取り付けられている。

導入式油回収装置をさらに分類すると以下のようになる。

 

?可変堰式

可変堰式油回収装置は、その名称のように、回収装置内の可変式の堰板を調整することに

より、海面と装置内油水分離槽面の水位差により流入した油と水を密度差により分離する装置である。可変堰式回収装置の機構について図3-2-11に示す。海面上の油は、堰板と海

面の水位差により流入板を通じて分離槽に流入する。分離槽流入箇所には、乱流の発生を防ぐ整流板、また分離棺内には油の浮上を促進するための対流板が設置されている。

 

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?傾斜板式

回収装置前面に傾斜板を設置し、回収装置が移動することにより流出油を傾斜板によって回収装置内に導入して油を回収する方式である(図3-2-12)。このとき余剰海水は分離槽底部から回収、排出される。また、油の導入率を向上させるとともに、乱流発生を防止するため、傾斜板に回転ベルトを設置する場合もある。波浪による回収効率低下を防ぐため、回転ベルトに浮力を持たせたものや回収油貯蔵タンクを真空式としたものもある。

 

 

 

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