双方のタイプとも実際の流出油事故では十分な評価がされていないのが現状であるが、現場実験においては、特に巾着網タイプのもので流出油を封じ込め、保持する場合に有効であるとみられている。当財団筑波研究所の回流水槽を用いた実験では、いわし旋網漁網の高粘度油に対する耐油性能が従来のオイルフェンスと同等、あるいはそれ以上であるという結果が得られている(シップ・アンド・オーシャン財団,1997)。したがって、全国的に入手が容易な漁網を用いた対応は、急場には十分役に立つものと思われる。
しかし、いずれの場合も油がネットに吸着されると網目が塞がって油の保持能力は通常のオイルフェンスと同様になる。
(3)バリア
オイルフェンスやネットシステムのように物理的に直接油を遮り、制御する手法と異なり、二次的な物理遮蔽効果により流出油を保持する包囲手法のカテゴリーをバリアと称する。バリアにはエアカーテンや薬剤、また緊急時には手近な植物等で作成したスクリーン等がある。
?バブルバリア
水面下に設置した孔の開いたパイプに高圧空気を送り、気泡を生じさせること(エアカーテン)により流出油を保持する(図3-2-5)。このとき水面には気泡により向流が生じ、最大0.7ノットの水流に対して油を保持することができる。このシステムは、浮体式オイルフェンス等で船舶の航行が妨げられるようなケースで使用される。