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代表的な衝立式オイルフェンスの仕様について表3-2-3に示す。RO-CLEAN DESMI社のTROILBOOM GPシリーズは、波の穏やかな内海、沿岸、河川、沖合、それぞれに適したモデルがある。同社のカタログによれば表中のTROILBOOM GP HDBは、過酷な条件にも耐えるとしており、白波のたつ海象条件下で使用されている写真が掲載されている。また、SLICKBAR社のSLICKBARMk7は、KEVLAR29アラミド繊維にウレタンコーティングがされた長期配備型オイルフェンスで摩擦や炭化水素によるダメージに強い。太田工業(株)のOKS-800ABは、発電所取水口の保護、またAMERICAN BOOM & BARRIER社のCG-1 Standardについても荒天時の堅牢性よりも迅速な展開を目的としている等、衝立式オイルフェンスは、外洋での使用ではなく、静穏域における防除を目的としたものが多いが、外洋で発生した流出事故においてもその展張の迅速性から沿岸域保護に有効であると思われる。

 

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カーテン式、衝立式ともフェンスを水中で垂直に保持するための支柱及びバラスト、各スパンを連絡するためのコネクタ、曳航ポイント及びアンカリングポイントを有している。

オイルフェンスによる流出油の包囲・誘導能力については、フェンスに直角に作用する1ノットを超える水流に抗して油を保持することはできない。これは、強い水流による越流だけでなく、乱流によるくぐり抜けにも起因する。このためフェンス側面は突起物等がなく一様であることが望ましい。

また、これらのタイプとは別に網や布地をチューブ状にして、中に合成あるいは天然の油吸着剤を詰めて使用する吸着式オイルフェンスがあるが、これには吸着材以外の補強材や浮体を必要とし、油が浸透したオイルフェンスの取り扱いや処分に問題が生ずることがあるため、通常水流が弱い水域で薄いフィルム状の油を回収する場合に用いられる。

 

 

 

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