3.1.5 日本
(1)防除対応体制
我が国の油流出事故発生に対する防除体制及び資機材の整備等については、以下の関係各法に規定されるそれぞれの計画に基づき具体的な対応が図られている。
1)災害対策基本法(災対法):防災基本計画、防災業務計画、地域防災計画
2)海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律(海防法):排出油防除計画
3)石油コンビナート等災害防止法(石災法):石油ヨンビナート等防災計画
4)環境基本法:環境基本計画
5)OPRC条約:油汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画
これらのうち、「油汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画」は、平成9年1月、日本海にて発生したNakhodka号流出油災害の教訓等を踏まえ、油汚染事故発生時の即応体制、関係機関の緊密な連携、個別具体的な役割分担等について明確化を図るために、従来の計画を見直し、改訂することが平成9年12月閣議決定された。この計画は、上記1)〜4)と調和を保ったものであり、これらと相まって油汚染事故に迅速かつ的確に対応出来るよう策定するものとして位置づけられている。
この計画では、対応体制の整備について、関係行政機関、地方公共団体等は、油汚染事故への対応について必要な対策を適切に実施するため、それぞれの機関の対応体制及び機関相互の協力体制の整備を図ることとなっており、この場合、関係行政機関は、関係省庁連絡会議等の場を通じて、油汚染事故に対する協力体制について必要な調整を行うことが以下のように規定されている。
海上保安庁は、油汚染事件への対応を迅速かつ的確に実施するため、排出油防除計画を作成するとともに、海上における特殊な災害に対応する特殊救難隊及び機動防除隊の育成強化を図り、船挺・航空機による24時間の出動体制を確保する。また、海上災害防止センターにおける防除措置の実施に関する対応能力の一層の確保に努める。
また、海防法に基づき、管区海上保安本部長、タンカーの船舶所有者等は、官民合同の組織として排出油の防除に関する訓練の実施、重要事項の協議等を行う排出油の防除に関する協議会を、関係地方行政機関、地方公共団体等と連携し、必要に応じて組織し、対象海域の広域化、それぞれの機関の防除の実施に関する役割分担の明確化等に努める。
環境庁及び水産庁等は、油汚染事件発生時における環境影響調査、野生生物の保護、漁場等の保全等の対応措置が迅速かつ的確に行われるよう、各行政分野における体制の整備に努めるとともに、地方公共団体、関係団体等との連携協力体制の一層の確保に努める。