(5)防除対応訓練
カナダにおける防除対応訓練は、主としてカナダ沿岸警備訓練校(CCGC:Canadian Coast Guard College)で実施されている。CCGCには、海洋捜索・救難基礎コース、操船・航法コース、救難指揮・調整コース3種類の訓練教程があり、流出油対応訓練は、救難指揮・調整コースの中で実施されている。この教程では、
1)指揮・管理
人員管理技能、倫理、リスク・マネジメント、チームワーク、管理変更
2)安全衛生
個人の安全、運航安全、被害コントロール
3)メンテナンスと検査
救命艇の構造、被害防止維持、修復(修繕)、大規模修復
4)船舶運航
船体安定、出港/入港、操船(浅海域、強流域、外洋、荒天時)、
受傷者を伴う場合の操船、応用航法
5)運航管理
航法支援、測深と監視、その他
6)環境影響(事故)対応
責任所在の明確化
事故対応訓練
7)捜索・救難
合成開口レーダー(Synthetic Aperture Radar:SAR)システム、
救難調整センター、機材資源、初期対応、捜索計画、捜索実施、現場指揮官、
救難計画、救難実施、作戦総括
8)広報
運営方針、報道管制、公的啓蒙活動
9)人員管理
個人管理、作業の割り当て、作業安全衛生、乗員訓練
10)財政管理
一般財政管理、収支管理、資金捻出
11)総合管理
日報(航海日誌)管理、通信管理、指揮会議
の11項目について、訓練・講義を行っているが、流出事故防除対応の直接的な訓練は、6)の環境影響対応の項目内で実施されている。他の項目についても、油防除以外の救難活動と重複はするものの、油防除実施に関して避けては通れない項目であり、系統だった油流出事故対応訓練であるといえる。
以上、既往文献調査及びヒアリング等により得た情報を参考にして作成したカナダにおける油流出事故対応の流れを図3-1-7に示した。