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いかに速やかに防除作業を開始するかという点に眼目が置かれている。また、特に分散処理剤の使用については、水産物が重要な輸出品目であるということと相まってか、水産資源に対する影響への危惧が拭いきれず、初期対応で使用することは少ない。

 

(5)防除対応訓練

ノルウェーでは、毎年、実際の油や模擬油を用いた実海域における大規模な油防除対応訓練を実施している。この訓練では主として、

 

1)オイルフェンスの展張

2)一時貯蔵タンクの敷設

3)資機材搬入

4)油回収装置の投入・操作

5)回収船舶によるタンカーからの油の吸引移送

 

等、現実に即した防除作業を洋上で行っている。

また、油流出事故に対してのトレーニング方法として、その時々刻々の変化に対していかなる対応をとるべきか、またその結果、状況ほどのように変化するのかを画面上でシミュレーションすることにより、対策本部や防除対応船舶の指揮官のトレーニングを行うためのシミュレータが開発・運用されている。

このシミュレータは対策本部の指揮官、防除対応船舶(巡視船等)の指揮官、及びヘリコプターのパイロット等を対象として構成されており、それぞれの立場の被訓練者が相互に連絡を取りつつ、別個の部屋で画面を見ながら対応訓練を行うものである。画面には、通常の船舶操船シミュレータやフライトシミュレータの画面のように任意の画像が映し出され、拡散した油、油回収拾、オイルフェンス等が可能な限り目視状態に近い映像で表現されるようになっている。

トレーニングを受ける被訓練者は、インストラクターから事故の概要、現場付近の気象条件等が指定され、予め入力されている実際の防除資機材の配備状況をもとに具体的な対応をシミュレータ上で試行することになる。各部屋のシミュレータに分かれた各部門は、相互に情報連絡を密にして訓練を行うことになるが、特に対策本部の指揮官は、巡視船やヘリコプターからの情報を逐一考慮・入力して全体の指示を行う。画面上にはオイルフェンス等、防除資機材の位置も表示され、防除対応が適切であれば油の拡散は抑えられ、次第に回収されて行くが、対応に失敗すると油が沿岸まで漂着してしまうことになる。このシミュレータ訓練は、1コース5日が標準になっていて全部で7コースが用意されている。現時点でこのシミュレータには、ノルウェー全海域の情報及び資機材の配備状況が、入力されており、データブロックの入力・交換により他海域へも応用が可能である。

 

以上、既往文献調査及びヒアリング等により得た情報を参考にして作成したノルウェーにおける油流出事故対応の流れを図3-1-5に示した。

 

 

 

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