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3.1.3 ノルウェー

(1)防除対応体制

ノルウェーにおける流出油汚染防止体制は、環境省所属の国家汚染管理局(SFT:Norwegian Pollution Control Authority)に集約・管理されている。実際の流出油処理体制は、イギリス同様、政府、地方公共団体及び民間機関の各レベルがそれぞれ流出油処理組織及び資機材を保有し、分担して処理作業を行うようになっている。オフショアでの油・ガス田操業による流出油汚染に対しては、ノルウェー石油管理局(NPD:Norwegian Petroleum Directorate)とSFTが共同で連絡・広報等処理にあたるが、実質的な流出油処理に関しては、SFTが責任を有している。つまりSFTの要請・指示に基づき、沖合での大規模流出油に対してはノルウェー海洋油濁対応協力機構(NOFO:Norwegian Clean Seas Association for Operating Companies)、海岸線に漂着した流出油の処理に関しては、地方公共団体が処理作業の責任を有している。海岸付近の小規模の流出油に対しては、SFTが保有する資機材をもって対応する。

 

(2)連絡体制

流出油事故が発生した場合の連絡・通報系としては、SFTが24時間監視体制をとっており、第一発見者は電話、無線等、一般の通信回線を用いて水上警察及びSFTに通報する。

沖合のプラットフォームで流出油事故が発生した場合、最初の通報はSFTとNPDに対して行われ、プラットフォームのオペレータが自社保有の流出油処理組織・資機材で処理不可能と判断した場合、直ちに支援要請がSFTを通じてNOFOに出される。その後の情報は、逐一NPDにも送られる。

 

(3)流出油緊急防災計画

流出油緊急防災計画については、イギリス同様、国家流出油緊急防災計画に基づき、政府、地方公共団体及び民間機関がそれぞれの役割分担に応じて独自の流出油緊急防災計画及びこれに基づく流出油処理組織・資機材(緊急防災システム)を保有しており、これらはSFTによって国家の流出油緊急防災計画に統合されている。つまり、ノルウェーにおける緊急防災計画の法的・組織的事項の細部にわたる制定作業は、これら3段階(国、自治体、民間)に分かれた緊急防災システムに基づいて実施される。また、それぞれの緊急防災計画に基づく対応体制は、要請に基づき相互に支援することが義務づけられていると同時に、政府は必要と判断される場合には、いつでも率先して防除対応・実施の指揮をとることができるようになっている。

 

(4)防除実施

沖合海域における油田操業に起因する流出油汚染に対しては、プラットフォームオペレータがNPDと共同で連絡・広報等の処理にあたるが、実質的な流出油処理に対してはSFTが全面的な責任を有している。また、流出油に関する限り、SFTはプラットフォームオペレータと直接連絡を取り、第一通報を受ける可能性の高い水上警察やNPDと共同で現場検証等の立入検査を実施する権限を有している。ノルウェーにおける流出油防除対応体制は、イギリスのそれと系統としての形態が類似しているが、事故原因者の対応能力に関わらず、防除実施機関が出動する点が異なる。

荒天時の防除実施については、アメリカ同様の対応であり、待機後、海域の静穏化とともに、

 

 

 

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